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「チームをどれだけ愛しているのか、そこが大切」ラグビー日本代表が新スローガン“OUR TEAM”に込める想いとは?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byYoshio Tsunoda/AFLO
posted2022/10/05 17:00
ジャパンXVとして挑んだオーストラリアAとの第1戦は逆転負け。しかし、松島幸太朗のトライなど見せ場はつくった
この秋、日本代表のスケジュールはタフだ。10月1日からオーストラリアAと3週連続で戦ったあと(東京→福岡→大阪)、29日には東京・国立競技場でオールブラックスと対戦。その後は欧州へ飛び、イングランド、フランスと戦う。世界のトップ級を相手に8週で6試合をこなすのだ。
「これはチャンスだと思っています。前回のW杯では、層の厚さが必要だと痛感しましたから」と坂手は言った。19年W杯ではプール戦を4戦全勝で1位通過した日本だが、主力は多くが4試合を皆勤。だが優勝を目指すチームはほとんどが、プール戦のメンバーを変えながら戦っていた。決勝トーナメントに入る時点で、疲労の差は明白。このステージで勝ち抜くためには、同等の力を持つメンバーを増やさなければならない。
世界で戦える選手を増やすことが今秋のミッション。だからといって勝負を度外視はできない。試合を前にジェイミー・ジョセフHCは言った。
「メンバー全員を出すことは考えていない。勝つことを最優先に、選手にチャンスを与えたい」
W杯の登録メンバーは前回通りなら31人。W杯で前回大会を上回る準決勝まで進めば、今回のシリーズと同じ6試合を戦うことになる。この秋はそのシミュレーションなのだ。
悪くはなかったが「とても残念な結果」
そして迎えた第1戦。ジャパンXVは途中まで優勢に試合を進めながら、勝利は掴めなかった。前半を9-6とリードし、後半15分には交代でピッチに入った松島幸太朗が出場わずか40秒、最初のボールタッチでトライ。22―13と9点差をつけた。だがそこから試合は暗転。3連続トライを奪われ、22―34の逆転負けに終わった。
ジャパンXVのパフォーマンスは悪くなかった。ノンキャップのSO中尾隼太とFL下川甲嗣(かんじ)は初の国際試合にも冷静にタフに身体を張り、好タックルを決めた。リーチは過去のベストパフォーマンスにも劣らない激しく強いプレーを反復した。前半7分に急遽、ピッチに入った20歳のワーナーは高さだけでなくボールキャリー、ブレイクダウン、ディフェンスのバッキングアップに驚異的なワークレートの高さを見せた。同じく途中出場のSH流大、FL姫野は故障明けながらゲームにコミットする意識の高さをアピールした。
だが、勝利には届かなかった。ジェイミーHCは「とても残念な結果」と振り返った。