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「チームをどれだけ愛しているのか、そこが大切」ラグビー日本代表が新スローガン“OUR TEAM”に込める想いとは?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byYoshio Tsunoda/AFLO
posted2022/10/05 17:00
ジャパンXVとして挑んだオーストラリアAとの第1戦は逆転負け。しかし、松島幸太朗のトライなど見せ場はつくった
「OUR TEAM」
19年W杯で日本代表の躍進とともに、スローガンの「ONE TEAM」が流行語になった。7カ国15人の外国出身選手を擁するなど多様なバックグラウンドを持つ選手がひとつのチームになって戦うラグビー日本代表の文化として、多くの人に共感を持って迎えられ、流行語大賞も受賞した。だが、そこから「ONE TEAM」という言葉はラグビー日本代表から離れ、一人歩きし始めていた。いろいろな集団が「ONE TEAM」という言葉を利用し、巷にあふれた。
2022年、W杯フランス大会を翌年に控えた日本代表の選手たちは、新しい言葉を模索した。キャプテンに指名された坂手淳史らリーダーグループの選手たちは、自分たちのイメージを投影する言葉を探し、その中で浮かんできた言葉が「OUR TEAM」だった。坂手主将が振り返る。
「僕たちが歩んできた結果として出てきたもの、自分たちで努力して掴み取ったもの、達成できた言葉を、ワークショップを重ねながら作る作業をしてきました。自分たちを動かす原動力になる、その言葉を使うことで、しんどいときに立ち上がる力になるような言葉です」
「ONE TEAM」に込められた「ひとつになろう」という意志は、ともすれば己を抑えることに繋がりかねない。自制は組織において必要な要素でもあるが、成熟した集団がさらに飛躍を目指すには、抑制だけでは足りない。求心力は前提として、さらに成長を目指すキーワードとして、坂手たちが見つけたのが「OUR TEAM」だった。
松島「チームをどれだけ愛しているのか」
リーチは「そのミーティングには僕は出ていなかったんですが」と断った上で「聞いたときに、すぐ『いいスローガンだな』と思いました」と言った。
「チームに対してどうコミットするかという要素、感情が入れてある。合宿で本当にキツい練習をしているときも、そのキツさを乗り越えるアクションに繋がる言葉だと思う」
松島は「自分のチームというプライドを持ってチームにコミットしていくこと」と解釈していた。
「チームのために身体を張れるのか、その姿勢は普段から周りに見られている。チームをどれだけ愛しているのか、そこが大切になってくる」
自分がチームそのものであれば、修正するのも自分事だ。目標の設定とゲームプランはコーチ陣の仕事であっても、決めたテーマを遂行するのはひとりひとりの選手。それを動かすのが「我々自身のチーム」という意識でありプライドだ。
オーストラリアAとの残り2戦。ジェイミージャパンの修正力、それを支える「OUR TEAM」の強さに期待したい。それはきっと、来年のW杯で勝ち進むための原動力になるはずだから。
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