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大学野球PRESSBACK NUMBER
巨人、中日、横浜のスカウトが狙った東大野球部4番…“東大のブンブン丸”はなぜプロ野球を諦めた?「慶応大1年の高橋由伸は衝撃的でした」
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph bySankei Shimbun
posted2022/09/21 11:02
今年のドラフトで東大史上7人目のプロ入りを目指すエース・井澤駿介投手。今から28年前、ドラフト候補として複数のプロ野球スカウトから注目された東大4番がいた
前述のように「東大のブンブン丸」と異名をつけられるほど、現役時代の片山は豪快な振りが特徴的なバッターだ。その名のとおり、空振りが多かったが、3年秋には法大から40年ぶりの勝ち点獲得を決める決勝ホームランを放つなど、頼れる主砲だった。
「三振が多かったのは事実ですが、六大学のピッチャーともなると1打席で打てる球は1球あるかないか。そのために、積極的に振りにいくという意識を強く持っていました。我々の世代は勝ち星が多かったと言われますが、自分としてはもっと打ってチームに貢献したかったという思いが強かったですし、守備でも肝心の勝負所で守り切れなかったときもあり、4年間を通して勝ちきれない試合もたくさんありました。良かった事よりも、自分のミスで勝利を逃した悔しい場面の方を今でも良く思い出します」
東京六大学野球のリーグ戦においては、勝ち星の数よりも、勝ち点が重視される。同カードで2勝しないと勝ち点にならないため、A大学に1勝2敗してB大学に1勝2敗するよりも、C大学に2勝するほうがいい。
「4年生のときには春秋ともに4勝していますが、結果的に5位止まりだったのは悔しかったです。ただ、ボールの待ち方やバットの出し方などの感覚的なコツがだんだんつかめるようになり、最後のシーズンでは、自分の期待する以上の個人成績を残せたと思っています。(4年の秋には打率.314でリーグ7位)法政大で同学年だった稲葉篤紀(ドラフト3位で東京ヤクルトスワローズに入団、その後北海道日本ハムファイターズに移籍)よりも打率ランキングが上でしたよ(笑)」
稲葉の名誉のために補足しておくと、彼は4年秋には打率2割台にとどまってリーグの打率ベスト10にランキングしていないが、春には打率.319で5位に入り、ベストナインに選ばれている。
なぜプロ野球の道を選ばなかったのか?
後の2020年に野球殿堂入りする稲葉篤紀と渡り合う打撃成績を残した片山は、前出のようにスカウトたちの目にも留まっていた。仮にプロ野球に進んでいれば、東大出身者としては初めての野手選手だ。