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「バッグの穴からレンズが…」現役大学生チアたちが明かす“性的画像”被害の瞬間「実際に画像が販売されているサイトを見て…」
posted2022/09/19 17:02
text by
品川絵里(共同通信)Eri Shinagawa
photograph by
Getty Images
『アスリート盗撮』(ちくま新書)=共同通信運動部編〈鎌田理沙、品川絵里、益吉数正、田村崇仁〉=より内容を一部抜粋して掲載する(全2回の2回目/#1からの続き)。
立教大学応援団の名前を出していい
高校生への取材をしながら、同時並行で大学生や社会人のチアリーダーの被害も調べ始めた。取っかかりは、大学時代にチアリーダーの活動をしていた友人だった。そこから、同じ野球連盟に所属する他大学のOB、その後輩、さらに、サークルでチアリーディングに励んでいた卒業生、さらにその後輩を紹介してもらい、ラインのメッセージや、ライン電話で話を聞いていった。
さらに、チアリーダーの歴史に関する取材でお世話になった立教大学の教授から、立教大学の現役チアリーダー数名を紹介していただけることになった。しかも、立教大学応援団の名前を出していいということだった。名前を出すことで、記事に深みや真実性が生まれ、読んでいても深刻度が異なる。
一方で、現役の学生もいるということで、その画像を冷やかしで検索されるなど二次被害を生むのではないかとも心配していた。実際、大学野球などでチアリーダーの活動が有名な大学5校に取材申請したところ、大学側の広報や、応援部の顧問や監督、学生の担当者から、「この取材は引き受けられない」と断られていた。そのため、立教大学の対応はかなりありがたく、感銘を受けた。
盗撮画像を売る人/買う人がたくさんいるという実態
話を聞くと、そこまで快く取材に応じてもらえたのは、理由があった。応援団の部長と監督が、画像が販売されている実態を深刻に受け止め、一刻も早く現状を変える必要があると切実に思っていたからだった。「撮影者たちは商売として盗撮をしており、それが商品として流通しているのが現状だと思います。盗撮した画像を売る人/買う人がたくさんいるという実態を記事にしてもらわないと問題の本質が見えないのではないでしょうか」というありがたい言葉までいただいた。
立教大学の現役大学生や数珠つなぎで聞いていったチアリーダーの数は約10人に上った。忙しい中で、私たちの取材に30分から1時間近く時間を使ってくれたのも、「被害をなくしたいから、取材に応じたい」という共通の思いがあった。それぞれに話を聞き、分かったことは誰もが被害の経験があり、なんらかの対策を講じてきたということ。そうやって性的に切り取られることはとてもつらいということだった。