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21年ぶり甲子園決勝も1対18…近江・多賀監督に聞く、「近畿で唯一の優勝ゼロ」滋賀県勢には何が足りない? カギは“有望選手の流出”をいかに防ぐか

posted2022/06/09 11:10

 
21年ぶり甲子園決勝も1対18…近江・多賀監督に聞く、「近畿で唯一の優勝ゼロ」滋賀県勢には何が足りない?  カギは“有望選手の流出”をいかに防ぐか<Number Web> photograph by Hideaki Ujihara

近畿勢で唯一、全国制覇の経験がない滋賀県勢。この春のセンバツの戦いを振り返りながら、滋賀県勢に何が足りないのか、近江・多賀章仁監督に聞いた

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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 この春も湖国に優勝旗は届かなかった。

 2001年夏以来の夢をのせて近江(滋賀)はセンバツ決勝戦に挑んだが、1−18で大阪桐蔭に敗れ、涙を飲んだ。

 孤軍奮闘の代償も大きかった。エース・山田陽翔が大会全試合に先発。準決勝では打席で死球を受けてもマウンドに上がり、その起用法を否定的に見る目も少なくなかった。

 決勝後、近江・多賀章仁監督は「(山田を)先発させるべきではなかった」と自らの判断ミスを認めたが、指揮官に同情の目を向ける人は少なかった。

 あれからおよそ2カ月が経った5月28日。近江は春季近畿大会の準決勝で大阪桐蔭と対戦し、またも敗れ全国トップに力が及ばないことを確認した。

 近畿勢で唯一、全国制覇の経験がない滋賀県勢。この春のセンバツの戦いを振り返りながら、滋賀県勢に何が足りないのか、また、物議を醸した決勝戦で山田を先発させた理由について聞くべく、百戦錬磨のベテラン監督・多賀のもとを訪ねた。(全2回の前編/後編へ)

 2018年夏はベスト8、昨年夏はベスト4、この春のセンバツでは準優勝。全国制覇に向けて着実に階段を上っている背景を振り返ってもらうと、多賀は自身に言い聞かせるようにこう振り返った。

「流れがあるということですよ。それに逆らったらあかんということです」

 2018年以降の近江の好成績に、近年の“流れ”が影響していることは間違いない。

 まず、この春のセンバツ出場自体が特殊なものだった。

なぜ、代替出場で決勝まで勝ち上がれた?

 そもそも、1月28日に発表されたセンバツ出場校の中に、近江の名前はなかった。センバツ選考の参考資料となる昨年秋の戦績は県大会で3位、近畿大会でベスト8だったが、その戦いぶりは評価されなかった。

 近畿大会の初戦と準々決勝の失点は合わせて17。昨夏、ベスト4に進出した立役者であるエースの山田が右肘を疲労骨折した影響から登板を回避。代わりの投手たちがことごとく打ち込まれたのだった。

 ところが、センバツ直前になって、本来は出場するはずだった京都国際が新型コロナウイルスの集団感染によって、出場を辞退したのだった。

 その代替となったのが近江だった。当時の状況を多賀はこう明かす。

「3月12日に智弁学園と練習試合をしたんですけど、その時に、京都国際さんに感染者が出たという話を耳にしたんです。そのときはまだ現実味はなかったです。15日にPCR検査があるはずだから、(出場可否は)その時だろうなと。ただ、高野連の方から、近畿は(最多の)7校が出場するため、代替出場になる可能性が高いので気をつけておいてほしいというのは言われていたんです。ですので、僕自身は最後まで(センバツ出場の)可能性を消さなかった」

 15日の時点では連絡はなかったが、16日の朝になって「3割程度の可能性」と連絡が入ると、それが夕方には「9割方」と変わった。運営委員会の決定を待って判断が下ることとなり、大会開幕の前日に出場が決まった。

【次ページ】 賛否を呼んだ山田の“死球→続投”…その時、現場は?

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