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「巨人じつはマイナス…」「借金12の阪神、意外とヒドくない」「広島が圧倒的優位」セ・リーグ“交流戦まで”、得失点差が意外な数字に
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/05/26 11:04
5月24日の交流戦ヤクルト対日本ハム。10回表、ヤクルト6番手・田口麗斗は無死満塁のピンチを20球無失点で切り抜けた
【5位】DeNA「ワーストの要因は?」
DeNAは得失点差がワースト(-48)。意外だったのは得点が139点でリーグ最下位だったこと。4番の牧秀悟は固定されているが、オースティンがまだ1試合もプレーしておらず、佐野恵太、ソト、宮崎敏郎も戦列を離れていた期間があり、得点力が安定しなかったことがその原因だろう。
交流戦に入って佐野を1番に起用したり、三浦大輔監督はいろいろ工夫を凝らしているが、歯車が噛み合う打順を発見できるかがポイントになる。
また、投手陣では先発が序盤に失点を重ねることが多く、6回自責点3点以内の「クオリティスタート(QS)」が少ない。
ここ10試合でQSが達成されたのは、5月10日のロメロ、5月12日の大貫(7回2失点も敗戦)、5月17日の今永(完封勝利)の3試合だけ。先発がどう試合を作っていくかが得失点差を改善するカギになりそうだ。
【6位】阪神「借金12でも得失点差はわずか-3」
阪神の数字は、ある意味で「カオス」である。
交流戦突入前、借金は12。ところが、得失点差ではわずか-3にしか過ぎない。
実は5月に入って、阪神の得失点差は著しく改善している。17試合を戦い、得点52に対し、失点は37。投手陣が充実し始め、なんと、1試合平均で2点ほどしか許していないのだ。ところが、この数字が勝ちに結びつくかというと話は別で、5月の月間成績は交流戦突入前までは、8勝9敗。
問題は5月だけで完封負けが5試合あることで、相手先発投手を見ると、小川(ヤクルト)に2度。そして石川(ヤクルト)、大野雄(中日)、床田(広島)とサウスポー相手に苦戦を強いられていることが分かる。
対左投手での改善が見られれば、一気に借金を返すのは無理にしても、徐々にチーム状態は改善してくるはずだ。
【1位】ヤクルト「去年とは違うチーム」
そして日本一チームのヤクルトが、交流戦突入前に首位に立った。
しかし、昨年のチームとはだいぶ様相が違う。