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「巨人じつはマイナス…」「借金12の阪神、意外とヒドくない」「広島が圧倒的優位」セ・リーグ“交流戦まで”、得失点差が意外な数字に
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/05/26 11:04
5月24日の交流戦ヤクルト対日本ハム。10回表、ヤクルト6番手・田口麗斗は無死満塁のピンチを20球無失点で切り抜けた
5月の8敗のうち、7試合で7回以降に失点をしているのだ。
つまり、リリーフ陣の課題につながっていく。9回の栗林良吏は信頼度100%。しかし、8回の収まりがまだ悪い。このところ、勝ちパターンの試合では矢崎拓也を7回、8回に森浦大輔を起用したり、僅差の試合をケムナ誠、塹江敦哉でしのいでいる。
序盤で大量リードを奪う余裕のある展開も今季のカープの持ち味ではあるが、交流戦では1点を争う試合で、どの順番でリリーフ陣の札を切るのか、佐々岡真司監督の腕の見せどころだ。
【2位】巨人「じつは得失点差マイナス」
一方、得失点差マイナス(-5)ながら2位につけている巨人をどう考えたらいいだろうか?
3月から4月までの31試合、巨人の得失点差は+25(得点136、失点111)だった。
ところが、5月に入ってからの18試合で、なんと-30と不振を極めている。
これは主将の坂本勇人の離脱と、ちょうど時期が重なる。
坂本が最後に出場したのは4月30日の阪神戦。5月に入ると大差で敗れる試合が増え、加えて吉川尚輝の離脱も重なって、弱り目に祟り目。この時期に得失点差がガクンと落ち込んだ。
交流戦突入前の10試合は7勝3敗と持ち直しているが、7勝のうち3勝が1点差。実に際どい試合をモノにしている。このあたり、シーズン前半にもかかわらず、原辰徳監督の執念とも思える細かい継投が目立つが、クローザーの大勢がいかに勝利に貢献しているかが分かる。
現在、巨人は2位につけてはいるが、得失点差で分かるように中身は心許ない。「坂本が戻ってくるまで」の期間、交流戦で原監督がどのような采配をふるうのか注目される。
【4位】中日「交流戦がチャンスか?」
巨人はなんとか持ち直しているが、心配なのは中日(-24)とDeNAだ。
開幕当初、中日は長年の課題とされてきた得点力に改善傾向が見られたが、この10試合は2勝8敗、得点32、失点51という状態で交流戦に突入した。
中日は広いバンテリンドームと敵地とでは数値がガラリと変わる球団だが、5月に入ってからは打線が不調。バンテリンドームでは6試合戦ってわずか16点、敵地では12試合も37点と、得点プロデュース力が低下してきた。
ただし、交流戦でDH制の恩恵を生かせそうなのが中日である。打数は少ないながらも、打率3割を超えているアリエル・マルティネスをパ・リーグの球場ではDHで使えるのが好材料。大島洋平も戻って、敵地での打線のつながりに注目したい。