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「巨人じつはマイナス…」「借金12の阪神、意外とヒドくない」「広島が圧倒的優位」セ・リーグ“交流戦まで”、得失点差が意外な数字に
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/05/26 11:04
5月24日の交流戦ヤクルト対日本ハム。10回表、ヤクルト6番手・田口麗斗は無死満塁のピンチを20球無失点で切り抜けた
まず、昨季は得点力がリーグトップで、打線が牽引した面も大きかった。ところが、今季は総得点が166点。1試合平均に直すと3.77で、昨季の4.37と比べると得点プロデュース力がかなり落ち込んでいるのが分かる。一方で、総失点は広島と並んでリーグ1位で、投手力で現在の地位を築いていることが分かる。
得点力低下の原因を求めるのは簡単で、5番を打つサンタナの長期離脱、そして昨季は6番に固定されていた中村悠平が、開幕から1カ月以上にわたって出場できなかったのが大きい。
中村は5月3日に復帰、現在は中村と2年目の内山壮真が1日おきに先発マスクをかぶる形になっているが、中村が戻ってきてからは11勝5敗1分と好調。得失点は65対39と、この17試合で+26を稼ぎ出している。
中村の復帰は投手陣の安定につながっており、1試合あたり2点ほどしか許していない。中でもブルペンの5月の月間防御率は24日の時点では0点台前半で、クローザーのマクガフ、交流戦初戦で無死満塁のピンチを切り抜けた田口麗斗はいまだに自責点ゼロを継続中だ。
交流戦の焦点は、対戦経験がほとんどない投手に対して、どう得点を作っていくかということだろう。高津臣吾監督は「打線ではまだ上手く行かないところも多い」と話しており、DHに誰を起用するかを含め、まだまだ模索が続きそうだ。
例年、交流戦でガラッと戦いぶりがかわることもある。これまでの傾向がどのような変化を見せるのかが楽しみだ。