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「巨人じつはマイナス…」「借金12の阪神、意外とヒドくない」「広島が圧倒的優位」セ・リーグ“交流戦まで”、得失点差が意外な数字に
posted2022/05/26 11:04
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Sankei Shimbun
現在のプロ野球のカレンダーでは、交流戦突入までがひとつの区切り。
セ・リーグの首位に立っているヤクルトの高津臣吾監督も、
「これで節目というか、また新たな交流戦というステージに入っていくので、また、油断することなく、しっかりと気持ちを引き締めてグラウンドに立ちたい」
と話している。
各球団とも、シーズン143試合のうち3分の1を過ぎたあたりで、ようやくデータも出そろってきて、「傾向」が見えてきた。
プロ野球に限らず、メジャーリーグにおいても私が重視するのは「得失点差」だ。プロは「平均」を競う世界であり、長いシーズンを戦っていくうえで、得失点差が順位につながっていく可能性が高くなる。
さて、交流戦突入前のセ・リーグの順位、各球団の得失点差はこうなっている。
この数字は、とても興味深い。それを列挙してみると……。
・得失点差で圧倒的優位を誇る広島が、実際は3位。
・2位の巨人は、最近になって得失点差がマイナスに転じた。
・このところ、阪神が得失点差を急激に改善し始めた。
といったところだが、得失点差から見る各球団の特徴をまとめてみる。
【3位】広島「得失点差は“圧倒的”なのに…」
広島は得失点差(+58)では圧倒的な強さを見せている。
鈴木誠也が抜け、得点力が心配されていたカープだが、得点は202(1試合平均4.39)でトップだ。その中身が興味深い。本塁打数は24本、盗塁数は8個でこのふたつのカテゴリーではセ・リーグの最下位。反対に出塁率、犠打、犠飛の数はトップ。鈴木誠也が移籍したことで、「線」を意識した打線のつながりがいい。
では、なぜ3位なのかといえば……7回以降に失点するケースが多いのだ。