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2月に始まった“根尾昂・投手プロジェクト”の裏側…立浪監督が目指す“大谷とは違う二刀流”とは?「何とか根尾を生かしていかないと」

posted2022/05/25 11:03

 
2月に始まった“根尾昂・投手プロジェクト”の裏側…立浪監督が目指す“大谷とは違う二刀流”とは?「何とか根尾を生かしていかないと」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2月下旬から始まった「投手・根尾プロジェクト」の裏側とは?

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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Nanae Suzuki

 5月21日の広島戦(マツダスタジアム)で、中日の根尾昂が投手としてマウンドに上がった。

 9点差を追いかける8回だった。1回に3点、2回にも6点を奪われ、苦行に近い観戦を強いられていた中日ファンは、途中から「ひょっとしてあるんじゃないか」と抱いていた、ささやかな期待が現実となりチケット代の何割かは取り戻せた。逆に早々に勝利を確信し、満足しきっていた広島ファンは、予期せぬギフトに思わず手を叩いて喜んだ。

 坂倉将吾への初球が150km。2球目の147kmをライト前にクリーンヒットされたが、小園海斗はライトフライ、磯村嘉孝はセンターフライ、中村健人もセカンドゴロに打ち取って追加点を許さなかった。

 あの根尾が投げた。目撃者となった3万132人は「ラッキー」だと思い、それ以外の野球好きも抑えたことに「やはりね」「さすがだな」と、まるで友人や息子が活躍したように喜ぶ。そして「どんなピッチングだったのか」の次に知りたいのは「なんで投げたの?」だと思う。

「根尾の登板」が異質である理由

 プロ野球選手には便宜上の登録ポジションがある。いつでも変更はできるし、違うポジションでの出場も可能だ。根尾は外野手。昨秋の秋季キャンプで「外野手専念」が決まったからだが、開幕後に「やはりショートで再チャレンジ」とUターンした。いわば本籍地は外野のままだが、住民票はショート。そして投手でも出場したということになる。

 野手の登板は大リーグではよくあることだ。それは試合数や移動スケジュールなどがNPBより過酷で、延長戦は無制限、マイナーとの入れ替えもさまざまな制約がつくから、大差がついた試合でリリーフ投手の投入を避けたいからだ。中日の野手登板は60年ぶりとのことだが、巨人の増田大輝が2年前の阪神戦で登板している。

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