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佐々木麟太郎ら「05年世代」やっぱり黄金世代か? また見つけた“高2球児の逸材”4人…プロ野球スカウト「高3は例年なら迷う選手を3位指名も」 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/05/13 17:04

佐々木麟太郎ら「05年世代」やっぱり黄金世代か? また見つけた“高2球児の逸材”4人…プロ野球スカウト「高3は例年なら迷う選手を3位指名も」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

花巻東高の佐々木麟太郎(2年)、2005年4月生まれ。この春も05年度生まれ世代が注目されている

 サイドハンドからうなるような剛速球が145、6キロをマークする安西投手も、その後、ここまで(5月10日現在)これほどのパワーとスケールを感じる高校投手とも出会っていないが、それ以上に、この鈴木捕手が本当に「2年生」なのか……と思うほどの存在感を漂わせる。

 腰から下の筋肉が十分に充実した均整抜群のユニフォーム姿。右耳よりもっと高い位置にサッとトップを作って、ズバッと右腕を振り下ろすスピード感抜群のスローイングに、思わずオオッと声が出る。

 初回、完全にモーションを盗まれた二塁盗塁を、送球スピードでねじ伏せるように刺したプレーなど、普通の高校生なら、とてもアウトにできるタイミングじゃない。

 スライダーのショートバウンドを止め、前に転がったボールを拾って、思わず飛び出した二塁走者を刺しにいったプレーもタイミングはアウトだった。

 強肩というレベルじゃない。これはもう「猛肩」だ。

 肩はすごいが、瞬間的な動きのスピード……つまり体のキレは体幹や足腰のトレーニングで、この先もっと向上する。そこは「伸びしろ」だ。

 打球は左方向に偏ったが、三塁手頭上に上がったフライの高さと、三遊間を猛烈なライナーで抜いた打球のスピードに、才能の片鱗がはっきり見える。

 同点にされた直後、2死二塁から、ツーシーム系の沈み際を拾うようにして持ち上げて、そのままレフトスタンドに放り込んだ2ランは、まだ打球が上がっている段階で、もう右のこぶしを上げてガッツポーズだ。

 打った瞬間に、自分の打球のゆくえを確信できるのは、バッティングの感覚を実感できているから。非凡な証拠だ。

「いちばんの長所は肩……それと、実戦での視野の広さですね」

 鈴木捕手を指導する石岡諒哉監督も同校OBで現役時代は捕手。現役当時の、身のこなしの鮮やかな所作と、コンパクトで敏捷なスローイングが、今でもはっきり記憶に残る。

「いつもどこかを見ている……表現はよくないかもしれませんが、人をだます面白さを感じ始めてるのかもしれない。バッターのこと、いちばんわかるのは足元に座っているキャッチャーなんです。感じられるキャッチャーになれるヤツだと思ってます」

往年のあの強打者を思い出した

◎2005年世代のニューカマー【2】柴田樹(捕手・花咲徳栄高・2年・175cm76kg・右投右打)

 そこから中1日で、埼玉県大会の県営大宮球場に、舞台は代わる。

 浦和学院高と花咲徳栄高が出場する日曜日だから、開場前からファンの長い列ができている。待ちわびていた高校野球シーズンの到来だ。

 スターティングメンバーが記された紙が、記者席で配られて、花咲徳栄の「4番捕手」が2年生となっている。

 捕手・柴田樹(175cm76kg・右投右打)……“秋”は見ていない名前だ。

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