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甲子園の風BACK NUMBER
「『ストップ・ザ・大阪桐蔭』にエントリーさせてください」仙台育英39歳監督が明かす“絶対王者にどう勝つか” カギは「12人いる140キロ超投手」
posted2022/05/18 11:01
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph by
Takahiro Kikuchi
「ウチも『ストップ・ザ・大阪桐蔭』にエントリーさせていただけないでしょうか。日本文理大を超えるマシンガン継投の準備をしています」
仙台育英の須江航監督からそんなメッセージが届いたのは、4月上旬のこと。私が小サイトで書いた記事『「ストップ・ザ・大阪桐蔭」プロ級左腕の前田&超強力打線という“絶望”…それでも勝ちうるチームは? 近畿に多い対抗馬、“大穴”は札幌にいた』を読んでのリアクションだった。
今春の選抜高校野球大会(センバツ)を圧倒的な力で制した大阪桐蔭に対抗しうるチームはどこか。具体的なチーム名を挙げて紹介したところ、仙台育英は自ら名乗りを上げたのだ。
須江監督の言う「日本文理大のマシンガン継投」とは、アマチュア野球に馴染みの薄い読者に説明が必要だろう。
2003年の全日本大学選手権を制した日本文理大は、ショートイニングで投手をつなぐ小刻みな継投スタイルで「マシンガン継投」と呼ばれた。学生野球の常識を覆すインパクト抜群の戦法だったが、仙台育英は大阪桐蔭を倒すためにそこまで考えているのか。がぜん興味が湧いた。
「僕ほどの“大阪桐蔭マニア”はいないかも」
2018年の監督就任以降、須江監督の口から大阪桐蔭や近畿勢への対抗意識を聞くことがたびたびあった。果たして今年はどんなチームを作り上げているのか。私は仙台へと向かうことにした。
「指導者のなかで、僕ほどの“大阪桐蔭マニア”はいないかもしれません」
須江監督はそう言って笑った。今年で39歳と、指導者として脂が乗ってくる年齢に差し掛かってきた。2019年夏、2021年春に甲子園ベスト8に導くなど、着実に実績を挙げている。
センバツ後、一部で大阪桐蔭のスカウティング手法を批判する声も上がった。だが、須江監督は語気を強めてこう反論した。
「野球は人を集めたからといって勝てるような、そんな単純なものではありません。プロ野球だって大型補強をしたチームが必ずしも勝つわけではないことは、歴史が証明しています」
39歳監督が見た大阪桐蔭「すべて計算され尽くしている」
大阪桐蔭の強さとは何か。須江監督は「文化」だと考えている。