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“新潟の186cm右腕”にスカウト集結…日本文理・田中晴也がドラフトの主役に? 投球姿に宿る“佐々木朗希の脱力感”
posted2022/05/12 11:00
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph by
Takahiro Kikuchi
2022年の高校生投手の主役は誰か――。
昨年のドラフト会議では、小園健太(市和歌山→DeNA)、風間球打(ノースアジア大明桜→ソフトバンク)、達孝太(天理→日本ハム)、森木大智(高知→阪神)と4人の高校生投手がドラフト1位指名を受けた。ところが、今年はここまで「ドラフト1位確実」と太鼓判を押せるだけの存在はいない。
実績と実力を兼ね備えた投手を挙げると、左腕なら森下瑠大(京都国際)、右腕なら山田陽翔(近江)が双璧だろう。とくに森下の実戦での強さは白眉で、上位指名は堅い。スケール感を売りにするタイプではないだけに、あとはスカウト陣の好みで評価が決まりそうだ。
新潟の本格派右腕にスカウトが集結
そして、春から夏にかけて評価がぐんぐん上がってきそうな右投手が新潟にいる。田中晴也(日本文理)。186センチ92キロの堂々たる体躯から、最速148キロの快速球を投げ込む本格派だ。野手としても高い将来性を秘める好素材である。
4月30日、日本文理の公式戦初戦となる春季新潟大会2回戦(新発田中央戦)。新潟県新発田市の五十公野(いじみの)公園野球場には、多数のスカウトが集結した。中には編成責任者が視察に訪れた球団もあり、田中の注目度を物語っていた。
この日、田中は3番・投手で先発出場した。ゴムチューブで上半身をほぐし、キャッチボールに入る。全力でなくても、しなやかな腕の振りから放たれたボールは重力に逆らうように伸びていく。正捕手の竹野聖智は「捕っていて楽しいですよ」と笑う。ブルペンに入ると、田中の巨体もあってかマウンドから捕手までの距離が短く感じられた。
田中の大きな特長は大きな肉体を柔らかく、バランスよく使えることだろう。元ヤクルト投手で日本文理の投手指導をする本間忠コーチは言う。