Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
4大会連続出場へ…長友佑都が語っていた“逆境のサッカー日本代表”「批判と称賛の大きさが自分の価値なんだ」
posted2022/02/01 11:06
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
〈初出:2021年11月4日発売号「<逆境の日本代表を語る>長友佑都『批判と称賛の大きさが価値なんだ』」/肩書などはすべて当時〉
1勝2敗。まさかのスタートで、チームも自身も強烈な批判に晒された。そのとき、35歳のベテランはどう動いたか。W杯4大会連続出場への逆襲宣言。
◆◆◆
着火「材」でもあり接着「剤」でもあり。
長友佑都にはチームを活性化させる「才」がある。2敗を喫して、もう後がない状態で埼玉スタジアムに強敵オーストラリアを迎えたあの試合もそうだった。同点に追いつかれたら手を叩きながら声を上げて前を向かせ、決勝のオウンゴールが入ったらベンチから真っ先に飛び出して歓喜の輪をつくり、殊勲の浅野拓磨とガシッと音が伝わってくるほどに抱擁する。
ギトギトの熱さでちょうどいい。35歳のサイドバックが点火役を買って出るからこそ一蓮托生が生み出される。
オーストラリア戦後、都内のホテルでの隔離期間中に実施したリモートインタビューでも画面越しに熱が伝わってくる。
「最後の得点は、監督、スタッフ、チームメイト、僕……それとスタジアムで応援してくれるサポーター、テレビの前で応援してくれるみなさんの“入れ!”という気持ちが起こしたんじゃないですかね。あんなシーン、なかなかないですよ」
その笑みは興奮を含みながらも、すぐに表情を引き締める。崖っぷちなのは変わらないのだからとでも言うように――。
マルセイユを退団…未所属のまま日本代表へ合流
カタールワールドカップ・アジア最終予選が始まる前、長友は問題を抱えていた。フランス1部マルセイユを6月末に退団して以降、新しいプレー先が決まらずに未所属のままになっていた。
「チームで練習できないわけですから、自分のトレーナーとフィジカルトレーニングをやったり、専属のフットボールスタイリストとボールを蹴ったり、そうやってコンディションを上げていくしかなかった」
どんな状況であっても、弱気の虫を寄せつけないのはいつもどおり。十分に戦えるだけのコンディションをつくって、8月末、初戦となるホーム・オマーン戦に臨むために日本代表へ合流している。