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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
中村憲剛が森保ジャパンに感じた“世代交代”の予兆 今後の論点は三笘薫ら五輪世代を「使うかどうか」ではなく「どう使うか」
posted2021/11/18 17:03
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
AFLO
日本代表がW杯出場権獲得に大きく前進した。11月16日深夜に行なわれたオマーン戦を1対0で制し、勝ち点1差で先行していたオーストラリアが引き分けたため、サウジアラビアに次ぐ2位に浮上したのである。
勝利の立役者は、後半から出場した三笘薫だ。川崎フロンターレでともにプレーした元日本代表MFの中村憲剛氏に、オマーンを攻めあぐねた前半と、三笘が登場した後半の違いを解説してもらった。(全2回の第2回)。
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三笘の投入によって、ポゼッションにも好影響がありました。オマーンの右サイドバックが三笘について前へ出たら、右センターバックがそのスペースをカバーしないといけない。そうすると、日本のFWへクサビが入りやすくなる。クサビは入れさせたくないので、右センターバックは右サイドバックに持ち場を離れてほしくない。でも、右サイドバックには「いかないとやられる」という思いがある。三笘は右サイドバックと右センターバックを同時に困らせ、右のインサイドハーフも困らせていました。
3人の相手選手が三笘を気にしているので、日本は周りの選手がいい場所で、時間がある状態でボールを受けられる回数が増えていきました。前半は高い位置で時間をなかなか作りにくかったので、パスを受けた選手はつねにアプローチを受けている状態でしたが、立ち位置ひとつで相手の組織を混乱させる三笘が入ったことで、相手陣内でボールを持つ時間が圧倒的に長くなりました。
そうなると、右サイドや中央にも時間ができます。チーム全体に、少しずつ時間が与えられていったのです。三笘がピッチに立つだけで色々なことが起こる。クギ付けにするというのはそういうことで、もう少し周りがうまくサポートすれば、左サイドをもっと制圧できたでしょう。そこは初顔合わせでもあったので、これからの課題になると思います。
相手守備陣を間延びさせた古橋の動き
4-2-3-1へのシステム変更も奏功しました。前半の4-3-3でビルドアップをすると、相手は2トップとトップ下の3人で吉田麻也、冨安健洋、遠藤航を見ることができる。また、遠藤はアンカーとして振る舞わないといけないという意識が高かったため、相手のトップ下の選手にすればマークしやすかったはずです。