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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
中村憲剛が森保ジャパンに感じた“世代交代”の予兆 今後の論点は三笘薫ら五輪世代を「使うかどうか」ではなく「どう使うか」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2021/11/18 17:03
伊東純也の決勝ゴールをアシストし、鮮烈な代表デビューを飾った三笘薫。今後、東京五輪世代がどのように起用されるかにも注目したい
しかし、後半は様々な工夫が見られました。田中が遠藤よりも落ちて2CBと3枚気味になって時間を作ったり、選手同士の距離感を縮めたり、ダブルボランチにしたりすることで、相手を困らせることができていたのです。それらの工夫によってスペースが空き、トップ下の南野へうまくボールが入るシーンが出てきました。
三笘による突破に加えて、二つ目の解決策が生まれ、前進することが可能になったのです。システムを変えることで森保監督が「あの手この手」を提示して、選手たちがどれを使うかを考えていったので、オマーンが守りにくくなったはずです。
三つ目の解決策は、古橋亨梧が生み出しました。途中出場で投入された彼は、最初に何本か背後への動きを見せます。オフサイドになったりもしましたが、それによって最終ラインはオフサイドギリギリで走る古橋についていかなければなりません。それを何回も繰り返すことで、コンパクトさを保てなくなるのです。
古橋のように背後へ走る選手が出てきて、トップ下へ下がった大迫勇也は自由度が増してバイタルエリアでボールを受けたり、サイドに流れたりとタメを作ることができました。背後に走ると守備は間延びするので、すき間もどんどん空いてパスも通りやすくなります。
6試合3失点の守備は評価されるべき
古橋と同時起用された中山雄太も、戦術的な役割を担っていました。
三笘が左サイドに張り出すことで、内側のレーンでインサイドサポートができるサイドバックの必要性が出てきました。そこで、インサイドサポートができて、パスも得意で、守備面で高さを補うことができる中山を起用するのは論理的だったと思います。ベトナム戦でも左サイドに左利きの選手を置くメリットも見せてくれましたし、三笘をサポートする意味でもタイミングのいい投入だったのではないでしょうか。三笘のアシストにつながるパスも、中山によるものでした。
守備にも触れましょう。
ベトナム戦に続いてこの試合も、失点を覚悟するようなシーンを許していません。得点力不足を指摘されることは多いですが、6試合で3失点の守備力は評価されるべきです。
吉田と冨安、GK権田修一の三角形は、2試合を通じて安定していました。DFラインがやや深いかなと思うところもありましたが、それでもピンチらしいピンチはなかった。守備力が順位を押し上げています。