サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER

「あまりにも条件が過酷。ただ攻撃は…」中村憲剛が“1得点”のベトナム戦を解説 オマーンとの大一番は「攻め急がなくていい」 

text by

中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

PROFILE

photograph byAFLO

posted2021/11/15 17:02

「あまりにも条件が過酷。ただ攻撃は…」中村憲剛が“1得点”のベトナム戦を解説 オマーンとの大一番は「攻め急がなくていい」<Number Web> photograph by AFLO

ベトナム戦の前半17分、大迫勇也のポストプレーから南野拓実が抜け出し、伊東純也がフィニッシュ。アウェイでのゴールラッシュに期待が集まったが……

 何でもないロングボールにもスタンドが沸き上がるアウェイの雰囲気やデコボコのグラウンドで、クリーンシートで勝ったのは評価されるべきです。他でもない森保監督と選手たちも、内容には決して満足していない。もっと詰められる、もっとやらなきゃいけない、と話していました。今回は特殊なケースの試合になりましたし、最低限勝ち点3を持ち帰ることがミッションだったと思います。躍動感には欠けていたかもしれませんが、選手個々のコンディションとチームとしての準備時間の不足を考えると、この試合に関して言えばそこまで求めることはできないというのが僕の意見です。

攻めあぐねた理由は「正しすぎるポジショニング」

 1対0とリードした40分に、伊東純也がスーパーなゴールを決めました。VARで取り消されてしまいましたが、あの得点が認められていたら3対0とか4対0まで、ひょっとしたら5対0まで持っていけたかもしれません。

 伊東のゴールが決まった瞬間のベトナムの選手たちは、画面を通してもはっきりと分かるくらいに落胆していました。それが取り消され0対1に戻ったことで、もう一度彼らの闘志に火がついたように見えました。炎が燃え盛るぐらいのパワーが、スタジアム全体に広がっていったと感じました。

 自分たちはゴールを取り消され、相手のモチベーションがさらに高まる展開です。選手としてピッチに立っていたら、ものすごく嫌な雰囲気を感じたでしょう。しかし、そこもうまく抑えて、1対0で逃げ切ったのです。

 コンディションや練習不足を脇に置いたうえで言えば、攻撃についてはやや物足りなさを感じました。

 どうやってビルドアップをして、相手の陣地に入り、ブロックの間で受けてゴールへ向かうか。瞬間、瞬間でのイメージが、いまひとつ共有されていなかったかなと思いました。ワンタッチでテンポ良くパスがつながるとか、相手に触らせないでゴール前までボールを運ぶ、というようなシーンをもっと見られたら、得点は増えたかもしれません。

 僕自身は、選手間の距離がある意味で良すぎるな、等間隔すぎるな、と感じました。意外に思われるかもしれませんが、あまりにも等間隔すぎるとパスがつながりにくいのです。ポジションも正しすぎると、相手が対応しやすくなります。あえてポジションを崩したり距離を縮めたりすることで、相手も対応できなくなりゴール前までいくことができるのです。

 ポジションは決まっているけれど、相手を見てアドリブを利かせていかなければならない。そこのカギを握るのは遠藤航、田中、守田英正の中盤の3枚になると改めて感じましたし、良い場面が作れている時はつねに彼らが絡んでいました。

【次ページ】 守田の代役がチームのカラーを決める?

BACK 1 2 3 4 NEXT
森保一
伊東純也
大迫勇也
南野拓実
守田英正
遠藤航
田中碧
長友佑都
冨安健洋
吉田麻也
山根視来
権田修一
柴崎岳
原口元気
古橋亨梧
浅野拓磨
中山雄太
三笘薫
旗手怜央
カタールW杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ