「あまりにも条件が過酷。ただ攻撃は…」中村憲剛が“1得点”のベトナム戦を解説　オマーンとの大一番は「攻め急がなくていい」 

　ただ、横パスとバックパスが多くなると相手も勢いづくので、相手が嫌がるポジションを取り、そこで前を向ける受け方をして、相手にとって怖い攻撃を繰り返す。オマーンの中盤の選手たちに「もっと中を締めないといけない」と思わせるような攻撃を織り交ぜる。サイドに何回もスライドしなければいけないし、中も締めないといけない状況へオマーンを誘導できれば、後半の勝負どころで相手の足が止まるでしょう。

　試合当日の開催地の気温は、最高が28度で最低が25度の予想です。現地時間20時のキックオフ時も暑さが残っているとしたら、相手を走らせるのはさらに大事になります。

　自分たちでボールを保持して、相手をとにかく走らせる。相手が嫌がることをやり続けられるかが、オマーン戦のポイントになります。

「三つ巴」に持ち込めるか、あるいは…

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　オマーンはカウンターを狙ってくるので、攻め急がないことも大事でしょう。ベトナム戦でも「そこは突っ込まなくていい」と思える場面が、何回かありました。

　相手の4－3－1－2は、自陣に構えて日本が出て来たところをからめ取ってのカウンターに優れますが、前から取りにいくのは難しいシステムかな、というのが僕の印象です。それは、こちらのサイドバックが必ず空いてしまうシステムだからです。

　4－3－1－2でこちらのサイドバックにも前からいくとなると、「3」と「1」の中盤のダイヤモンドを拡げないといけない。そうすると、すき間が空いてきます。ですから、日本は攻め急がずに相手の陣形を見てボールを動かし、ここぞというところでスキを突いていくのです。

　オマーンがカウンター狙いではなく、攻撃に意識を傾けてくれば守備にスキができる可能性は大きいです。その場合は、躊躇せずに前へパスを刺していく。攻め急がないで慎重にやりつつも、クサビを刺し込める機会は逃さないことが大切になります。

　この試合に勝てばオマーンとの勝ち点差は「5」に広がり、サウジアラビアとオーストラリアとの三つ巴に持ち込めます。言い方を変えれば、最悪でも3位でプレーオフに望みをつなげるという立場を固め、2チームを追いかける立場をキープすることができます。

　しかし、オマーンと引き分けたり、負けたりするようなことがあると、上位2チームとの勝ち点差は広がり、オマーンに勇気と希望を抱かせることになってしまいます。上位2チームについていけるのか、3位争いをする立場になってしまうのか──この試合は後半戦をどのポジションで戦うかを決める大一番なのです。「ホームで勝ちたい」という相手の心理をうまく利用して、冷静に、かつ大胆に戦って勝利してほしいです。アウェイで苦しい試合になるとは思いますが、みんなで日本の勝利を願い、応援しましょう！

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。