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[歴代監督で見る30年の進化]日本代表戦術史論 1992-2021
posted2021/09/26 07:02
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kazuaki Nishiyama/Toshiya Kondo/Takuya Sugiyama/JMPA
'90年代以降、日本代表は時に外国人の指揮官を招聘し、新たな戦術とコンセプトを取り入れ、時に日本人監督に託しながら世界に挑んできた。オフトから森保一まで、約30年の変遷を紐解く。
オランダ人ハンス・オフトが日本代表監督に就任した1992年から日本の新たな歴史が始まった。オフトは史上初の外国人監督というだけではなかった。戦術をベースにしたヨーロッパ流のサッカーを、日本に初めて持ち込んだ点で彼は画期的だった。
それまでの日本は、選手ひとりひとりの個の力を足し合わせたものがチームであった。オフトはその原理を覆し、規律と戦術をチーム全体が共有することからチーム作りをはじめた。個が力を発揮するのも、あくまでチーム戦術を守った上である。オフト以前には、その点を明確に打ち出したチームも指導者も存在しなかった。