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中村憲剛に聞く“オマーン戦と中国戦の違いは?” 絶賛する大迫勇也の先制ゴール「伊東純也の突破を信じて走った」 

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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posted2021/09/10 18:00

中村憲剛に聞く“オマーン戦と中国戦の違いは?” 絶賛する大迫勇也の先制ゴール「伊東純也の突破を信じて走った」<Number Web> photograph by JMPA

W杯最終予選の中国戦、日本は1-0で初勝利を収めた。最終予選の舞台を2度経験した元日本代表・中村憲剛氏はこの試合をどう見るのか?

 中国は第1戦を同じドーハで戦っており、長距離移動もそれに伴う時差もありませんでした。自分たちのコンディション面のアドバンテージを守備から生かそうと、自陣深くにDFラインが設定された5-3-2のシステムで臨んできました。

 おそらくこの極端な守備システムの狙いは──まずは日本を自分たちのブロックに絡めとりながらしっかり耐え忍び、0対0のまま後半へ持ち込むこと。そして、コンディションに難のある日本が疲労の色を隠せなくなる後半途中から攻撃的にシフトチェンジして得点し、勝点3をさらうことだったと思います。

中国)陣形をどう築くかが定まっていなかった

 試合が始まって中国の守備強度を観てみると、自陣深くにブロックを作ったものの、前半はボールホルダーへのプレッシャーがほとんどと言っていいほどかからず、幅や間を取る日本の選手に誰が、いつ、どうマークにいくのかも定まらないという、密度も練度もそこまで高くない守備組織になっていました。率直に言って、日本の攻撃力をかなりリスペクトした中国の戦いかたに、拍子抜けした方が多かったのではないでしょうか。

 後半は普通に日本と戦っている姿を見ると、あそこまで極端に引く必要があったのかと感じました。そのなかで、死に物狂いで日本の選手にガツガツとくるところもないのです。人に激しくいく、セカンドボールを拾う、相手より走る、球際で勝つといった「ハードワークの熱量」が、ほとんど見られなかった印象です。

 また、失点後も戦いかたが変わらなかったという意味では、システムや立ち位置は共有しているけれど、その強固さ(強度と密度のある陣形)をどう築くかが定まっておらず、選手たちもどう対応すれば良いのかを迷いながらプレーする状態だったと思います。

日本)オマーン戦の課題を修正できていた

 一方の日本は、長距離移動と時差の影響を受けるタフな日程でしたが、オマーン戦よりは少ない日数ながらも全体練習を積めたことと、初戦敗退を受けての選手ミーティングで方向性を一致させたことで、アグレッシブな戦いを下支えするフィジカルコンディションとメンタルが改善されており、中国の守備的なシステムもあいまって前半から「いつ点を取れるか」という状態になっていきました。

 オマーン戦で課題だった相手DFラインの背後を破る動きも、意識的に行なわれていました。ボールホルダーがフリーなのでパススピードの速いボールを配球できますし、中間ポジションに立っている選手がタイトにマークされないので、そこにボールが入り、少ないタッチ数でテンポ良くパスを出して動いてワンツーを使ったり、コンビで時間を作りながらランニングした3人目を使ったりと、みんなが動きを止めず、それでいて良いタイミングであえて動きを止めて受けることで、相手に的を絞らせず、攻撃に緩急をつけることもできていました。

【次ページ】 完璧だった先制弾と、流れが変わった瞬間

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