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中村憲剛に聞く“オマーン戦と中国戦の違いは?” 絶賛する大迫勇也の先制ゴール「伊東純也の突破を信じて走った」
posted2021/09/10 18:00
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
JMPA
W杯最終予選を2度経験した中村憲剛氏は、「何はともあれ勝点3を取れて良かったです。それに尽きます」と胸を撫でおろした。日本時間9月7日深夜に行われた中国とのアウェイゲームは、1対0の勝利に終わった。
「最終予選は勝ってナンボだと、改めて痛感しました。選手たちもそれはすごく感じたのでは」と言う。自身の経験も踏まえた選手心理の考察とともに、ゲームのポイントを整理してもらった(全2回の1回目/後編に続く)。
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「憲剛さん、最終予選はまったくの別物なんですね」
僕は10年南アフリカ大会と14年ブラジル大会へ向けたW杯アジア最終予選を経験していますが、今回の最終予選初戦のオマーン戦後に当時のある記憶がよみがえりました。初めてアジア最終予選を経験するひとりの若い選手が、試合後に「憲剛さん、最終予選はまったくの別物なんですね」としみじみと言っていたのです。
最終予選の1勝は、ただの1勝じゃない。最終予選の1敗は、ただの1敗じゃない。敗れたら崖の淵に立たされたような、背筋の凍る思いになったことを覚えています。
そういう意味では、オマーン戦を前に「アジア最終予選」というものに対する共通理解が形成されなかったのかもしれません。段階的な合流によるチーム全体での準備期間の短さや、コロナ禍によるバブル措置とそれに伴う孤立化など、様々な理由があったのだと想像します。
試合開始)日本と中国で「スタンスと姿勢」が違った
試合が行われるドーハ入った後に、主将の吉田麻也が選手全体で意識の統一をはかったとの報道がありました。中国戦ではその効果が出たのか、試合の入りからアグレッシブにどんどん攻守で前にいこう、という姿勢がはっきりと読み取れました。
初戦を落として連敗は絶対に避けたいチーム同士の対戦です。しかし、この大切なゲームに背水の陣で臨む両国のスタンスと姿勢は、正反対なものでした。