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元日本代表・中村憲剛は“2試合連続交代残し”をどう見る?「決断しにくい場面」「タイミングがあったとすれば…」

posted2021/09/10 17:00

 
元日本代表・中村憲剛は“2試合連続交代残し”をどう見る?「決断しにくい場面」「タイミングがあったとすれば…」<Number Web> photograph by JMPA

中国に1-0で勝利した日本代表。元日本代表の中村憲剛氏が徹底解説する

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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 W杯最終予選を2度経験した中村憲剛氏は、「何はともあれ勝点3を取れて良かったです。それに尽きます」と胸を撫でおろした。日本時間9月7日深夜に行なわれた中国とのアウェイゲームは、1対0の勝利に終わった。

「最終予選は勝ってナンボだと、改めて痛感しました。選手たちもそれはすごく感じたのでは」と言う。自身の経験も踏まえた選手心理の考察とともに、ゲームのポイントを整理してもらった(全2回の2回目/前編から続く)。

◆◆◆

流れを変えたのは「伊東純也と、柴崎岳の“数秒間”」

 後半の嫌な流れを変えたのが、伊東純也のスピードを生かしたプレッシングでした。61分に相手のビルドアップを引っ掛け、単独で抜け出して久保建英へラストパスを通しました。このパスはオフサイドになりましたが、「下がらずに前へ」、「絶対に受けないんだ」という攻撃的な姿勢のスイッチを彼が再び押したことで、チームは引き締まり、再び前線からのプレスへいくようになりました。

 伊東のこのプレーの直後、中国は3人同時交代でシステムを4バックへ変更します。ここではボランチの柴崎岳が機転を利かせました。

 3人交代による中国の選手の立ち位置を確認するためだと僕は思いましたが、CBの冨安健洋と吉田麻也の間に入り、数秒あったかなかったかくらいの時間ですが、相手のシステムを見たのです。ボランチでプレーしていた自分からすると、これは隠れた好プレーでした。この数秒間を作ったことで、システム変更後の中国の全体像を、チーム全体が把握することができましたから。

 柴崎はその後、相手の2トップの脇へ下りました。その狙いは、日本のCBにプレスをかけたい相手2トップの守備の基準点を、曖昧なものにすることだったでしょう。そのとおりに、プレスに不用意に引っ掛からなくなり、相手陣地に入る回数がまた増えたことで、カウンターを受ける回数が減りました。

 ビルドアップ時にボランチが相手2トップの脇や2トップの背後に立つことで相手の守備先鋒を困らせ、味方も立ち位置を定めやすくなるこの動きは、この試合では出番のなかった守田英正も5、6月のシリーズで見せていました。ボランチの層を厚くしていく意味でも、彼らの競争は楽しみでもあります。

中国戦で先発出場した「冨安、室屋」の推進力

 オマーン戦からの変化としては、冨安の復帰でビルドアップが改善されました。彼は相手を見ながら意図を持ってパススピードの速い飛ばしのパスを出し、受ける側の攻撃の選手たちに時間的余裕を与えていました。吉田も含めてCBからテンポ良くパスが入っていくと、攻撃にリズムが生まれていきます。

【次ページ】 タフな環境で光った20歳久保の才能「そう簡単ではない」

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