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【センバツ】大谷翔平vs藤浪晋太郎、真壁の肩を支えたダルビッシュ、大阪桐蔭“伏兵”の一発…春の名勝負ベスト5 

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西尾典文

西尾典文Norifumi Nishio

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posted2021/03/18 06:00

【センバツ】大谷翔平vs藤浪晋太郎、真壁の肩を支えたダルビッシュ、大阪桐蔭“伏兵”の一発…春の名勝負ベスト5<Number Web> photograph by JIJI PRESS

済美にサヨナラ弾を許した真壁(18番)の肩を持つダルビッシュ。この日はレフトから仲間の好投を見守っていた

うなだれる真壁を支えたダルビッシュ

◆第76回大会(2004年)準々決勝
東北 6-7× 済美
※9回サヨナラ

 東北のエース、ダルビッシュ有(パドレス)は大会初戦となった熊本工戦でノーヒットノーランを達成するなど、その実力を遺憾なく発揮。しかしその後、腰を痛めたこともあって準々決勝では登板を回避し、5番レフトで出場していた。ダルビッシュに代わって先発のマウンドに上がったのはメガネ姿が印象的だった真壁賢守。好投を続ける真壁に奮起したのか、打線も序盤から着実に得点を重ね、4点リードで最終回を迎えた。

 このまま東北が逃げ切り、前年秋の明治神宮大会でコールド負けを喫した済美にリベンジを果たすか――と思われたが、9回裏に済美が2点を返し、なおも2アウト一、二塁のチャンスを作ると、3番・高橋勇丞(元阪神)が打った瞬間に“それ”と分かるレフトへの逆転サヨナラスリーラン。劇的な勝利の一方で、試合後にうなだれる真壁を支えていたダルビッシュの姿を記憶するファンも多いだろう。

 ちなみに勝利した済美はこのまま勢いに乗って初出場初優勝の快挙を成し遂げ、2年生エースの福井優也(楽天)が優勝投手となった。

目前に迫っていた「大記録」

◆第81回大会(2009年)2回戦
南陽工 2-1 PL学園
※延長10回

 この年の決勝は、清峰の今村猛(広島)と花巻東の菊池雄星(マリナーズ)というドラフト1位投手同士の投げ合いとなり、球史に残る名勝負となった(1-0で清峰が優勝)となったが、今回は同大会からあえてこの試合を選んだ。

 PL学園の先発は左腕・中野隆之。初回から快調な投球を披露。6回1アウトから死球で初めて走者を出すものの、盗塁死でこの回も結局3人で南陽工打線をシャットアウト。9回をノーヒット、27人で抑えてみせた。

 しかし、PL学園打線も南陽工の2年生エース岩本輝(元オリックス)の前に毎回のように走者は出すものの、1点を奪えず試合は延長へ。迎えた10回表、中野は1アウトからヒットを許し、「大記録」の達成が消滅すると、その気落ちもあったのか2アウトから3連打を浴びて2失点。その裏、PL学園も反撃を見せて1点を返したが、中野の好投は報われずに敗退となった。

 岩本は翌年のドラフト4位で阪神に入団するも、16年に自由契約となり退団。その後BCリーグの福井で結果を残し、18年シーズン途中にオリックスでNPB復帰を果たして、2年間プレーを続けた。現在は古巣の阪神に復帰し、アカデミーコーチを務めている。

 一方、中野は関西国際大を中退し、オーストラリアのウインターリーグを経て社会人野球のジェイプロジェクトに入団。17年からはTDKに移籍して、30歳を迎えるいまもなお現役を続けている。

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