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IWGP世界ヘビー級王座への困惑…飯伏幸太が「本当の神になった!」と叫ぶ真意とは【棚橋、中邑、そして猪木】

posted2021/03/03 11:03

 
IWGP世界ヘビー級王座への困惑…飯伏幸太が「本当の神になった!」と叫ぶ真意とは【棚橋、中邑、そして猪木】<Number Web> photograph by Masashi Hara

飯伏幸太は白いIWGPインターコンチネンタルのベルトに強い思いを抱く

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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Masashi Hara

 飯伏幸太が言う「神」とはなんなのだろうか?

 初めは、飯伏自身が「神」と崇める棚橋弘至と中邑真輔と同じポジションまで上り詰めることを指しているのではないか、と思われた。IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を手に入れ、自らが崇めていた「神」に並ぶことをそう表現しているのではないか、と。

 1.4で内藤哲也を下し、1.5でジェイ・ホワイトを退けた飯伏は「本当の神になった!」と叫んだ。とうとう新日本プロレスの頂点に辿り着き「神」となり、物語はハッピーエンドを迎えたかに見えたが、どうやら飯伏の言う「神」はそういうことではなかったようだ。

 ベルトを手に入れた飯伏は、2冠を統一するプランを明かした。

わざわざ第2のベルトを欲する選手は現れない

 内藤がIWGPインターコンチネンタルのベルトを保持しながらIWGPヘビー級のベルトを手に入れることを「偉業」と言っていたのは、IWGPヘビー級王座が別格として頂点に存在しているからだった。1人の選手のもとに2本のベルトが揃うことは間違いなく偉業だったが、いざ実際に揃うと、白いベルトの存在意義はなくなった。わざわざ第2のベルトを欲する選手は現れないからだ。2冠戦という言葉とは裏腹に、実際にはIWGPヘビー級王座を奪い合っているのと同じことになっていた。

 飯伏は白いIWGPインターコンチネンタルのベルトに思い入れがあることをことあるごとに口にしていた。自身の「神」である中邑が巻いていた白いベルトを「最高のベルト」と称し、価値が失われていることを良しとしなかった。

 IWGPインターコンチネンタル王座は、2011年5月のアメリカ遠征に際して登場したものだ。IWGPヘビー級王座への海外からの登竜門、という役割だったが、海外で頻繁に試合があるわけではなかったため、アメリカでMVPが初代王者になったものの、防衛戦は日本で日本人を相手に行われた。日本で試合が開催される場合でも、大陸間、という意味が示す通り、外国人選手同士、あるいはIWGPヘビー級王座への足掛かりとして外国人選手vs日本人選手という構図で試合が行なわれていくものかと思われたが、2代目王者は田中将斗、3代目王者は後藤洋央紀で、早々に現在のNEVER無差別級王座のような扱いになっていった。

【次ページ】 インターコンチネンタルの意味を取り戻した中邑は

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