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IWGP世界ヘビー級王座への困惑…飯伏幸太が「本当の神になった!」と叫ぶ真意とは【棚橋、中邑、そして猪木】 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2021/03/03 11:03

IWGP世界ヘビー級王座への困惑…飯伏幸太が「本当の神になった!」と叫ぶ真意とは【棚橋、中邑、そして猪木】<Number Web> photograph by Masashi Hara

飯伏幸太は白いIWGPインターコンチネンタルのベルトに強い思いを抱く

2つの歴史を継承しつつ物理的に1本にする

 本来であれば、役目を終えたベルトは封印、もしくは最高王座への吸収という形で歴史を終えることになる。ところが飯伏は歴史を終わらせたくなかった。「神」である中邑が「最高」に輝かせて、多くの選手が素晴らしい戦いを繰り広げてきた同王座のその歴史を途絶えさせたくはなかった。

 そこで浮上したのが統一、2つの歴史を継承しつつ物理的に1本にする、という案だ。

 これは生え抜きの選手にはピンとこない主張だった。IWGPヘビー級王座が「最強」であり「最高」のもののはずだったからだ。2番目のベルトと対等な立場として統一されることは、価値が高まるのではなく不純物が混ざって下がることになる。そう考えるのは当然だった。

 しかも、吸収ではないからIWGPヘビー級王座、という名前だとおかしなことになる。つまり、IWGPヘビー級王座、という名前は失われる。内藤はそれに気づき、統一を阻止すべく立ち上がった。

 こうして迎えた2.28、IWGPインターコンチネンタル王座だけでなく、2冠を統一するかどうかをかけた大阪決戦は、飯伏が制した。

 これを受けて新日本プロレスは2冠の統一を決定。新たにIWGP世界ヘビー級王座が誕生することになった。

飯伏が言う「神」とアントニオ猪木

 さて、飯伏が言う「神」とはなんなのだろうか?

 新日本プロレスで「神」と言われるのはアントニオ猪木だ。新日本プロレスの創始者である猪木は「神」そのものだ。引退した後もそれは変わらず、2002年の2.1札幌大会では蝶野正洋が「このリング、我々の上に1人神がいる」と猪木を呼び込んでいる。

 IWGPの歴史をスタートさせたのも猪木だ。

 IWGPはInternational Wrestling Grand Prix。ベルトが乱立するプロレス界において真の世界最強の男を決める、という理念でスタートした。それまであったベルトよりももっと価値があるものを創ることは、新日本プロレスを大きなものにすることに繋がった。

 飯伏は「プロレスを広めたい」と常々口にしてきた。今回の出来事は、ベルトを減らすという部分とプロレスをより有名なものにするという部分で原点回帰したものと捉えることも出来る。最大のポイントは、創始者である猪木が行ったのと同じように、それまであったベルトを超えるものを創る、ということをしようとしたことだ。

 だから「神」だった。飯伏の言っていた「神」は、このレベルでの話だった。

【次ページ】 飯伏幸太が「神」になったとはどういうことか

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