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W杯まであと2年 森保ジャパンがメキシコに突きつけられた「すぐには埋められない差」とは
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2020/11/18 13:15
前半15分にメキシコ守備陣を崩した日本だったが、鈴木武蔵と伊東純也のシュートはブロックされた
「試合の入りから強度の高い展開で、苦しい場面もありましたけれど、選手たちが耐えながら自分たちの流れに持ってきて、チャンスがいくつかできたときに得点を奪うことができれば、違う展開になったかなと思います」とは、試合後の森保監督である。
相手のハイプレスと強度の高いバトルに直面した立ち上がりをしのぎ、相手ゴールへ迫ることができたのは評価できる。何度も訪れたチャンスは偶然ではなく必然的なものだった。しかし、好機を生かせないのである。相手を脅かすことはできても得点できないという現実が浮き彫りになり、前半は0対0で終了した。
ジワジワと押し込まれていくなかでの失点
後半開始とともに、メキシコのベンチが動く。4-3-3で中盤にアンカーを置いた前半から、選手交代によってボランチを2枚にする立ち位置に変えてきたのだ。日本も57分に柴崎を下げて橋本拳人を、鈴木に代えて南野拓実を投入。このタイミングでの選手交代には、試合の流れを変えたい意図もあったはずだ。
日本がメキシコの攻撃に慣れていったように、メキシコも前半の終盤から日本のパスワークに対応してきていた。後半の選手交代で、メキシコはさらに安定感を増し、攻撃により多くの選手が関わるようになっていく。
60分過ぎに連続して際どいシュートを浴びると、テクニカルエリアの森保監督から「我慢するよ!」の声が飛ぶ。しかし63分、ラウール・ヒメネスに決められてしまう。ジワジワと押し込まれていくなかでの失点は、ワンチャンスを生かされたと言わざるを得ない。勝敗を分けるポイントで耐え切れなかったとの指摘も成り立つ。
0対1とされた5分後には2点目を失う。南野が相手CBにボールを奪われ、そこから2本のパスでイルビング・ロサーノに決められてしまった。日本も狙いの1つとしているショートカウンターを止めることができなかった。メキシコの立場になれば、ここから先はペースを上げなくていい。失点をしないことに力点を置きながら、カウンターで3点目を狙っていけばいい。
森保監督は72分に久保建英、77分に浅野拓磨、85分には三好康児を投入したが、攻勢に転じることはできなかった。濃霧に覆われて視界の悪いピッチを、選手たちはさまよっているかのようだった。