プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・原辰徳監督の“人を動かす”
采配術。「うちはデータより役割」
posted2020/07/31 11:50
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
開幕から約1カ月半が経過して、ペナントレースは4分の1のスケジュールを消化した。
その中でセ・リーグで首位を快走しているのが巨人である。
無傷の5連勝を飾り、23イニング連続無失点を記録するなど、まさにエースの中のエースのピッチングを披露している菅野智之投手がいて、4番の岡本和真内野手はハイペースで本塁打を量産している。
働くべくして働いている中心選手の存在が、この快進撃の土台を作っているが、もう1つ、勝利の影でクローズアップされているのが原辰徳監督の選手起用、采配力なのである。
その原野球の象徴的な1つが、猫の目のように変わる先発オーダーだ。
坂本や丸ですら“猫の目”の1ピースに。
開幕から試合毎に異なる先発メンバーで臨む試合が続くこと20試合。そしてようやく21試合目となる7月12日のヤクルト戦で、初めて7月2日のDeNA戦と同じ並びとなった。
その後も選手の状態、相手投手が右か左かなどで、選手を組み合わせて猫の目打線を組み続けてきている。
古い球界の常識では打線は固定するものだった。いわゆる不動のオーダーこそが強さの根源にあると言われてきた。
だが、今年の巨人は基本的には坂本勇人内野手と丸佳浩外野手、岡本の3人だけが固定されたメンバーで、しかも打順も不動なのは4番の岡本だけ。坂本と丸ですらコンディションや相手投手によって2番と3番を入れ替えて“猫の目”の1ピースとなっている。
そうして日々変わり続けるオーダー編成が結果を残し、むしろ強さの源になっている。そういう原監督の選手起用が、今年の快進撃の要因の1つとなっている。