球道雑記BACK NUMBER
ロッテ益田直也の進化とシンカー。
井口監督の助言、記録よりも優勝。
posted2020/08/02 11:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
「去年の納会の時に、下の子たちに言われたんですよね」
2020年シーズンの選手会長の話題になると、千葉ロッテマリーンズの益田直也は選手会副会長の中村奨吾と西野勇士からいきなりこう切り出されたのだという。
「益田さん、やってもらえませんか?」
思いもよらない後輩からの指名だった。選手会長はリーダーとしての自覚が芽生え始めていた中村が引き受けるものだと益田は思っていたし、まさか自分にその役がまわって来るとは思っていなかった。
プロ9年目にして初の大役。しかし不安よりも意気に感じた。
「特に断る理由もなかったので決めましたけど、正直『一番きついときに選手会長になってしまったな』というのはありましたね」
それはもちろん新型コロナウイルスのせいだ。4月、チーム活動が次々と休止となる中、益田は選手側を代表し、球団と意見交換を重ねた。
当初は4グループに分かれての自主練習が許されている状況だったが、感染がさらに拡大すると球場および球団施設の使用が全面禁止。先の見えないトンネルの中、気を揉むことも少なくなかった。
それでもいつになるとも分からない開幕に向けて、日々鍛錬を重ねた。
逆算して準備を進めてきた益田。
「個人的には練習再開から1カ月後くらいに開幕するだろうと逆算して身体を動かしていました」
オフの自主トレ、春季キャンプ、この自粛期間と良い時間を過ごしてきた証拠だろう。今季は状態の良さがここまでの成績からも見て取れる。
両チーム合わせて25得点、31安打の壮絶な打ち合いになった7月28日の東北楽天戦でも、先頭の小深田大翔を四球で出したが、慌てることなく、キャッチャー柿沼友哉とアイコンタクト。次打者の鈴木大地をサードゴロで併殺に打ち取ると、最後は茂木栄五郎を得意のシンカーで空振り三振に仕留めて、きっちり3人で締めた。
今季、自身に起きている変化について益田は次のように語る。