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巨人・原辰徳監督の“人を動かす”
采配術。「うちはデータより役割」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/07/31 11:50
原監督は先発オーダーを“猫の目”のようにかえながら、首位を快走している。
「勝つために必要のない選手、人間は1人もいない」
「我々は全員で戦う。ベンチにいる選手、スタッフ、そして裏方……それぞれには役割があって勝つために必要のない選手、人間は1人もいない。それが巨人軍の戦い方です」
実はあまり気づかれてはいないが、こう語る原監督の言葉を象徴するような試合が、7月29日のDeNA戦だった。
今季32試合目のこの試合の先発オーダーは以下の通りだ。
(二)北村拓己
(中)丸佳浩
(遊)坂本勇人
(三)岡本和真
(左)ゼラス・ウィーラー
(一)中島宏之
(右)陽岱鋼
(捕)炭谷銀仁朗
(投)戸郷翔征
32試合目で30通り目の新規オーダー。
32試合目で30通り目の新規オーダー。これを見て最初に浮かぶ狙いは、DeNAの先発左腕・濱口遥大投手に右打者を並べた打線だ、ということだった。
打撃好調の大城卓三捕手に代えて炭谷を起用したのは、先発の戸郷とのコンビネーションを優先した選択だった。
しかし他のオーダーでは左打者の亀井善行とヘラルド・パーラの両外野手を外して、右打者のウィーラーと陽を入れている。内野も坂本と岡本の他には、濱口との前回の対戦で本塁打を打っている中島が一塁、二塁も吉川尚輝内野手ではなく右打ちの北村を起用した。
丸以外の8人を全て右打者で揃えた打線は、単純に考えれば対サウスポー用に組んだバリエーションの1つというようにも見える。