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りくりゅう「ペアは本当に難しい」世界選手権“涙の優勝”の後に明かした本音…“長い苦労の時間”を経て、三浦・木原が輝きを取り戻すまで
posted2025/04/03 17:02

2年ぶりの世界選手権優勝を果たした三浦璃来と木原龍一
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
フリーの得点が出たときは願うような表情だった2人は、総合得点と最終順位の「1」が出た瞬間、感情を爆発させた。一方は安堵からソファに座り込み、一方は跳びはね続ける。
フィギュアスケートの世界選手権ペアで2度目の優勝を果たし、それぞれに喜びをかみしめる三浦璃来と木原龍一は、やがて時が止まったようにコーチを含め静止すると、3人で固く抱き合った。
「原点」に立ち戻っての栄冠
それは「原点」に立ち戻っての栄冠だった。
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「このプログラムの完成形を最後の最後で披露することができました」
と木原が振り返るショートプログラム『Paint It Black』では、冒頭のツイストリフトを鮮やかに決めると、スロー3回転フリップなども決め、首位に立つ。
迎えたフリーは最終滑走。『アディオス』。序盤の3連続ジャンプで乱れるなどした。それでも2人の表現は崩れることなく、プログラムの世界を生きる。世界屈指のスピードもあいまって、情感と抒情豊かに滑り切る。
フィニッシュ。膝に手を突いた木原の頭を、三浦が労うように、ぽんぽん、と柔らかくたたく。木原は氷の上にひざまずく。出し切ったことを表していた。歓喜はそれから数分後に訪れた。