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独自の応援スタイル確立を!
平成最後のセンバツで見えたこと。 

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byYukiko Umetsu

posted2019/04/04 17:30

独自の応援スタイル確立を!平成最後のセンバツで見えたこと。<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

地元色を前面に出した春日部共栄の応援席。生徒たちがかぶっていた麦わら帽子は春日部市の特産品だ。

オリジナルの市立和歌山、部員も「誇りに思う」。

『サウスポー』や『ルパン三世のテーマ』など、全国的に同じような応援曲を使う学校も多いなか、オールオリジナル曲で臨んだ市立和歌山(和歌山)の応援は大変素晴らしく、心に残った学校の1つだ。このようなスタイルになったのは35年ほど前からで、きっかけとなったのは当時の野球部部長の岡本信夫氏だった。

「昔の応援は、早稲田大学の『コンバットマーチ』や慶應義塾大学の『ダッシュKEIO』を使う学校がとても多く、どこも似たような応援ばかりでした。他と違うことがやりたい思い、知人に応援曲を作ってほしいと頼んだんです」(岡本氏)

 岡本氏から依頼されたのは、元小学校の音楽教諭・田中寛治氏。「覚えやすく、応援に似合う元気な曲を」と数曲作り、現在は『レッツゴーICHIKO』、『R』(Revenge)、『V』(Victory)、『W』(Win)など、7曲が使われている。

 野球部員に「応援曲についてどう思っているか」と聞くと、「誇りに思います。県大会でよく対戦する智辯和歌山の『ジョックロック』をかっこいいなと思いますが、僕たちはやりたいとは思いません」と、“魔曲”をリスペクトしながらも、きっぱりと言い切った。

他校にも使われた平安ソング。

 龍谷大平安(京都)も、オリジナル曲にこだわる学校として知られている。特に人気が高いのが、ランナーが二塁に進むと演奏する『怪しい曲』だ。吹奏楽部顧問の林晃氏と吹奏楽部の生徒が作った曲で、「タン・タタタタン・タタタタン・タタタタタタタタタタン」という冒頭のリズムがラヴェルの『ボレロ』に似ていることから、ファンの間では“怪しいボレロ”とも呼ばれている。

 今大会では他の学校も同曲を使うケースが目立ち、全出場校の応援をチェックしたところ、3校が使用。野球部員が吹奏楽部にリクエストし、市販されていない曲のため、いわゆる「耳コピ」で楽譜を起こす。

【次ページ】 「オリジナル」の使用の是非。

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