“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
五輪世代FW旗手怜央vs.上田綺世が、
インカレで濃厚なマッチアップ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/21 17:30
積極的にシュートを放つ旗手怜央。そのプレーぶりに早くも注目する川崎サポーターも増えている。
フロンターレの一員の意識。
この一戦で大学3年生としての公式戦を終えた。そんな旗手だが2019年は“プロ1年目”と位置づけているという。
「再来年(川崎に)入るという意識は一切ないですね、東京オリンピックもありますし。代表でも力を出せるようになってきた。ただ、J1王者であるフロンターレで試合に出るようにならないと厳しいと思います。
フロンターレはポジション争いが凄く激しいし、攻撃も破壊力を持っているチーム。なのでその中でしっかりと揉まれることで、もっと良くなると思います。もちろん僕が所属しているのは順天堂大なので、そこでしっかりとプレーして、フロンターレでも多くのことを吸収して、かつ試合に出る。来年からフロンターレの一員という自覚と気持ちを持っていきたいと思います」
旗手のライバルは上田だけではない、同じ大学3年生で再来年の川崎入りが内定している筑波大MF三笘薫の存在も大きい。
「薫は同じチームに入るので当然ライバルですが、彼からも盗むべきところがたくさんある。それに来年はユニバーシアードがあるんです。連覇が懸かっているし、綺世も薫も一緒にプレーする仲間になります。良いチームになるだおろうという期待感もあるので、コンディションを維持しながら、レベルアップして貢献したいです」
2人の幸せなライバル関係。
ライバルとは敵対する関係ではなく、お互いを認め、リスペクトして競い合う関係である。もしそうでなければ切磋琢磨すらできない。そのことも旗手も理解しているのだろう。
「綺世が1トップで僕がシャドーに入った時、すごくプレーしやすい。綺世は裏を取れるし高さもある。なるべく近くにポジションを取ると、綺世が裏を取る動きをする。それだけで相手のDFラインが下がるので、僕がスペースでボールを受けて前を向ければいい。いろんなバリエーションを加えられると思います」
チームメートとしてのイメージができている彼らは、幸福な関係にあると言えるだろう。
普段はお互いを成長させるためのライバル、起爆剤だが、各代表では頼もしく、心強い仲間である。
この試合での旗手の言動を見て、それを改めて感じられた。人間は1人では成長できない。もし今後もライバルと胸を張って言えてなければ、どちらかが成長していないことになる。それは彼らが求めている未来ではないだろう。
だからこそ彼らはこの“幸せな関係”を継続し、お互いを高め合うはずだ。