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世界を知る女子バレー荒木絵里香が
コートで見せる大黒柱としての役割。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byAFLO

posted2018/10/17 10:30

世界を知る女子バレー荒木絵里香がコートで見せる大黒柱としての役割。<Number Web> photograph by AFLO

荒木は「自分の大きな仕事の1つだと思ってずっとやっている」とサーブへの心構えを明かす。

ジャンプ力は落ちてるけど。

 五輪に3度出場し、世界選手権も今回が3回目となる、勝負所を知るベテランならではの危機管理により、日本は6チームだけが進むことのできる3次ラウンドに進出した。

 今大会の荒木はサーブで攻め続けることができている。ボールは変化しながら正確にターゲットを狙い、崩す。そのサーブへの心構えを荒木はこう明かす。

「サーブは、ブロックと同じぐらい、自分の大きな仕事の1つだと思ってずっとやっています。チームの中でも、サーブでブレイクにつなげることが求められているのは感じるし、私はミドルブロッカーで、サーブのあとはベンチにさがって何もできない時間帯になるから、しっかり最後に何かいいプレーをして下がろう、という気持ちは常にあります」

 荒木は主将を務めたロンドン五輪で銅メダルを獲得したあと、出産のため1年のブランクを経て現役復帰し、現在34歳。「ジャンプ力は落ちてる」と苦笑するが、その分、難しいトスにも対応できるテクニックや経験でカバーし、プレーのレベルを維持している。

 むしろサーブの精度や、苦手だったレシーブについては以前よりも上がっている印象がある。

「最初がヘタすぎた分、伸びしろがいろんなところにたくさんまだ残っている。まだまだ巧くなれる部分はありますね」と笑う。

環境が変わってもバレーを。

 また、「若い頃より今の方が全然、バレーが楽しい」と荒木は言う。

「若い時は、きつい、つらい、だったけど(苦笑)。たぶんいろんなことを経験させてもらって、視野や考え方が広くなったからというのはあると思うし、自分の生活や環境が変わった中で、バレーをやれていることが当たり前じゃないんだとわかったからじゃないですかね」

 現役生活を後押ししてくれる夫や、娘の面倒を見てくれる母をはじめ、周囲の支えがあるからバレーを続けられると痛感している。「自分がしっかりとプレーで見せることでしか、感謝の気持ちは伝えられない」と荒木は現役復帰当初から言い続けてきた。

「きついことや苦しいことも含めて、今、すごくいろいろなことを味わいながらできています。代表期間は家族と会えないのがやっぱり一番きついというか……。でも今ここ(代表)にいられるというのは、当たり前のことじゃないから」

【次ページ】 イタリア戦でチーム最多得点。

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