“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
酒井宏樹が右SBを天職にした理由。
縦の信頼関係と謙虚さ、獰猛さ。
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![安藤隆人](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/f/-/img_bf61245775818e993f7b27afcadd69be52906.jpg)
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/07/02 18:00
![酒井宏樹が右SBを天職にした理由。縦の信頼関係と謙虚さ、獰猛さ。<Number Web> photograph by Takahito Ando](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/700/img_eb141efefe04426775d85e3d9db7d17b255731.jpg)
柏の下部組織時代からサイドバックとして育成された酒井宏樹。ベルギー戦ではマッチアップが予想されるアザールを止められるか。
縦の信頼関係を築くことに全力を。
さらに「サイドバックという大事な居場所で“できるんだ!”と思いながらステップアップしていくために必要なモノは何ですか?」と聞くと、柔らかな表情から一変し、今度はとても真剣な表情をしながら、こう口を開いた。
「サイドバックに一番大事なのは……“縦の信頼関係”です。
ボランチやサイドハーフがボールを持ったら絶対にパスを出してくれると信じて、受ける前から走り続けるということ。それにより、さらにプレーのスピードが増すので。そのためには、もっともっと信頼関係をしっかり築いていくことが大事になる。どのチーム、どんな環境にいてもそれを構築することに全力を尽くすことこそ、これまでずっと自分がやってきたことです」
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どこまでも献身的に、繰り返し信じるプレーをやり続けること……そのことで周りの信頼を掴み、周りから活かされることでさらに成長する。酒井は、それこそが自分の進むべき道だと信じ、まっすぐに歩んできたというのだ。
フランスの名門マルセイユに移籍。
「常に何かを乗り越えた先には、また新たな課題が出てくる。終わりなく出てくる課題をこなしていく作業の繰り返しがサッカーだと思っています」
彼は柔らかな笑顔で、取材の最後をこう締めくくった。
そして、この笑顔から2年後――彼はマルセイユに移籍した。
マルセイユの白と水色を基調にした伝統のユニフォームに袖を通した偉大な選手は数多い。エリック・カントナ、ジャン=ピエール・パパン、現・フランス代表監督のディディエ・デシャン、ローラン・ブラン、マルセル・デサイー、クロード・マケレレ、フランク・リベリー(バイエルン)、サミル・ナスリと、“レ・ブルー(フランス代表の呼称)”の伝説的な選手たちがずらりと顔を揃える。