酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ONと松井秀喜と、本塁打の飛距離。
昭和と平成では球場のサイズが……。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySports Graphic Number
posted2017/07/10 08:00
松井の応援歌には「ミサイルホームラン」という一節があった。球場の大型化が進んだ当時のNPBでもその飛距離は驚異的だった。
松井のNPB時代の全本塁打332本の飛距離を調べた。
実は10年ほど前に、スポーツ新聞をめくり倒して、松井のNPBの全本塁打332本の飛距離を記録したことがある。
松井秀喜は1993年のNPBデビューだから、大型化して以降のスタジアムでプレーしたスラッガーだ。
そこで長嶋茂雄、王貞治、松井秀喜の全本塁打の飛距離を比較しよう。
<長嶋茂雄(1958-1974年) 通算444本塁打>
ランニングホームラン 3本(0.7%)
99m以下 51本(11.5%)
100-109m 183本(41.2%)
110-119m 135本(30.4%)
120-129m 59本(13.3%)
130m以上 13本(2.9%)
<王貞治(1959-1980年) 通算868本塁打>
99m以下 102本(11.8%)
100-109m 289本(33.3%)
110-119m 286本(32.9%)
120-129m 142本(16.4%)
130m以上 49本(5.6%)
<松井秀喜(1993-2002年) 通算332本塁打>
99m以下 4本(1.2%)
100-109m 27本(8.1%)
110-119m 72本(21.7%)
120-129m 110本(33.1%)
130m以上 119本(35.8%)
120m以上の本塁打の割合を比べてみると……。
長嶋茂雄は全本塁打の53.4%が109m以下、120m以上は16.2%しかない。王貞治は45.1%が109m以下、120m以上は22%である。
これに対し、松井秀喜は109m以下は9.3%、120m以上は68.9%。ONと比較しても、はるかに飛距離が伸びていることがわかる。
ONの時代と松井秀喜以降では“本塁打の距離感”が違っているのだ。