球道雑記BACK NUMBER
引退決断の井口が最も目をかける男。
“言われやすいタイプ”の清田育宏。
posted2017/07/10 11:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
井口資仁、引退――。
清田育宏がそれを知ったのは、井口が引退表明した今年6月から約半年前の2017年1月。今春の自主トレの時期だった。
これから戦いの準備を始める時期だけに、井口はその場で多くを語らなかった。清田も「そうですか……」とだけ答えた。8年に渡る付き合いから、井口がその先に何を伝えたいのかを理解した。
だから交流戦が終わって間もない6月20日に、井口が引退表明の会見を開いてからも清田はそれまでと変わらずにその事実を淡々と受け止めていた。
井口の花道を飾ろう、これまで以上に必死にやろうなど、そうした力みも一切ない。最後の瞬間まで中心選手として戦おうとする井口に対する彼なりの礼儀でもあった。
「ちょうど壁にぶち当たっている時期ですけど……」
清田が沖縄で井口と自主トレをともにするようになったのは2012年のことだった。2人はかつて千葉ロッテの打撃コーチを務めた金森栄治氏を共に師と仰ぎ、打撃理論にも共通する点が多い。この6年間の清田の変化について、井口はこのように話す。
「ウエイトもだいぶやるようになりましたね。それ以外にもサプリメントだったり、食事の面だったり、体には凄く気を遣うようになりましたね。同じ自主トレのメンバーに鳥谷(阪神)という素晴らしい選手、お手本がいるので、そこから影響を受けていることもあると思いますが、実際に(清田は)サプリメントだったり、トレーニングだったりを積極的に取り組んでいる。今は、シーズンでちょうど壁にぶち当たっている時期ですけど、これを克服すればチームの主軸として、再びやっていく力はあるんじゃないかって思っていますね」