2016年の高橋由伸BACK NUMBER
“史上最弱説”も飛び出す失速の巨人。
大御所OBの怒りの矛先がヨシノブに!
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/06/15 17:00
泰然自若か茫然自失か……どちらにしても大物なのは間違いない高橋監督。
伝説の域に達したエースがいるのに……。
では「相手」は菅野をどう見たか。阪神推しのデイリースポーツの名物コラム「松とら屋本舗」はこう書いた。
《あの最後のガッツポーズは何だろう。貫禄十分というか、ふてぶてしいというか…。とにかくムカつく。菅野です。でも、裏を返せばそれほど素晴らしい投球をされたというコトです。中盤以降は手も足も出なかった。硬軟自在。しかも本格派のそれです。敵ながら…いゃ褒めてたまるか。でも、感じてしまったんだから書かなきゃいけない。藤浪もいつかこんな投手になってくれたら、うれしい。》(4月7日)
最大の褒め言葉ではないか。
ここで私が2カ月前の試合をあえて紹介したのは、驚くことに菅野はこのあとずっと「こんな調子」だからだ。4月は防御率0.00。書き間違いではないですよ、防御率0.00!
《4月は33イニングを投げ防御率ゼロ。2リーグ制後、月間30イニング以上を投げて防御率ゼロは63年9月中井(阪神)70年10月村山(阪神)01年6月石井一(ヤクルト)に次ぎ史上4人目の快挙。4月では初めてだ。》(日刊スポーツ4月29日)
神がかり的な投球でも勝ち星がつかない不幸。
6月に入っても菅野の「圧倒」は続く。大変なことが起きていることを知ったのはこの記事だ。《G菅野が挑む球界のハンパない“伝説” 戦後達成者は故・村山実氏のみ》(夕刊フジ6月4日)
このままいくと防御率シーズン0点台を狙えるのではないか? と気づきはじめたのである。日本球界では戦後の達成者は1970年の故・村山実氏(阪神)の0.98の1度だけ。神がかり的な数字だけど今シーズンの菅野ならいけるかもしれない。勝ち星はともかく。
……いま私は大事なことを言ってしまった。
歴史的な好投を続ける菅野だが、勝ち星には恵まれないのである。6月14日現在で5勝2敗。防御率は0.75。このアンバランスさはなんだ。打線の援護に恵まれないからだ。