マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
笠原将生の弟、笠原大芽は何を待つ。
SB二軍で好投を続ける男の思い出。
posted2016/06/14 11:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
この春のスポーツ界には、悲しい事件が多かった。
こんなに次々と、いまわしい話題ばかりが紙面にのぼった年がこれまであっただろうか。
「清原和博」については、以前からソヨソヨとそんな噂が耳に届いてはいたが、まさか……と信じたくない思いで目をそむけていた。
しかしいざ現実となると、“反社会的勢力”みたいな格好で球場の土の上に立っていた姿を思い出し、もうあの頃から事の分別がついていなかったのかもしれないな、と腹が立つより悲しくなった。
人を怒らせるのはしかたないが、悲しませてはいけない。
闇カジノに賭けトランプ、その不健康な姿。
バドミントンの選手たちの「闇カジノ」にもガッカリしたが、話を聞いていちばん情けなかったのは、球場のロッカールームでの「賭けトランプ」だ。
読売ジャイアンツのファームの球場での出来事として報道されたが、1つの球団でやっていれば、5つも6つもやっていて、もしかすると12球団すべての“常識”になっているんじゃないか。
普通の感覚を持った大人ならそれはまずいと考えるのが普通なのだが、社会がどうあるかということを、おそらく彼らは知らないのだろう。
「練習のあとにトランプする体力が残っているのなら、もっと練習すればいい。ファームにいるということは、プロのくせに野球が“ヘタ”なんだから」
渋い顔でそう言った記者仲間がいたが、まったく同感だった。それ以上に、練習のあとの、地下室のようなロッカールームにたむろして、丸くなってカードを抜き差ししている姿の不健康さが悲しかった。
プロ野球という“最高峰”に在籍していることに慣れてしまった者たちの、明日を信じられなくなった姿が簡単に思い浮かんだ。