2016年の高橋由伸BACK NUMBER
“史上最弱説”も飛び出す失速の巨人。
大御所OBの怒りの矛先がヨシノブに!
posted2016/06/15 17:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Hideki Sugiyama
開幕直前、第1回目のコラムで私はこう書いた。
《いまいちばん未完成で不安定で一寸先がどうなるかわからないものは何だろうと考えたら、高橋由伸の今年しかないと私は思う。(中略)心の準備をして監督になった人とちがい、高橋はお家の事情で運命が変わった。急に監督になった今年はどんな日々が待ち受けているのか。どう考えても不安定であり未完成だ。》
というわけで高橋由伸の見どころがやってまいりました。
ただいま不安定な毎日を絶賛見せてくれています。
5月末に7連敗したと思ったら交流戦直前から6連勝。もろもろあって6月10日から福岡の惨劇。ソフトバンク戦で3連敗(昨年からを含めると6連敗)。落差が激しいここ最近である。
これが中畑清みたいなお祭り監督だったら見る側も心の準備ができるのだが、由伸監督ときたらクールにジェットコースターに乗っているからこちらも未経験ゾーン突入。
不安定で未完成なのは由伸監督なのではなく、見る側なのかもしれない。
ノムさんもべた褒めの菅野がいるのに……。
それにしても今年の巨人ときたらどうだ。菅野智之というエースがいて、野手では坂本勇人が好調。投打の若き主軸がもうひとつ上の階段をのぼっているというなら、どう考えても今年は明るくて強いはずである。ところがそうでもないから摩訶不思議。
こういうときは菅野を褒めておこう。自身に課したテーマ「圧倒」というフレーズどおり、今年は開幕から歴史的な投球を続けている。
菅野が阪神と初対決した4月6日の翌日、あの辛口の野村克也氏が《文句をつけようがない。巨人・菅野は完封すべくして完封した。「これぞピッチングの鑑」ともいうべき。エキスが詰まっていた。》(サンスポ4月7日)とコラムで大絶賛していた。
しかも《今回はボヤキなしでご容赦願いたい》《めったに見られない投球だったため、めったに人をほめない私も、今回ばかりは宗旨替えする。》というダメ押し付き。
ノムさん曰く《菅野の特筆すべきは制球力》だという。《先頭打者を出さない、二死からは長打警戒、無駄な四球は出さない》という、相手に得点を許さないセオリーを菅野はすべて体現していたと称賛する。