錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
プロテニス選手の高齢化が進む――。
錦織圭は、東京五輪で活躍できるか?
posted2015/07/22 10:50
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
錦織圭が左ふくらはぎのケガの悪化で2回戦を棄権したウィンブルドン選手権。優勝したのは昨年と同じくノバク・ジョコビッチ(28歳)でした。決勝の相手も昨年同様にロジャー・フェデラー(33歳)。昨年と異なったのは、ベスト4、ベスト8の顔ぶれの傾向だ。
昨年は、錦織よりも年下のミロシュ・ラオニッチ、グリゴール・ディミトロフがベスト4入りし、まだ19歳だったニック・キリオスがワイルドカードからベスト8に進出するなど、新風吹き荒れた大会だった。しかし今年の最年少は、春のデビスカップで打倒日本に貢献したカナダの25歳バセク・ポスピシル。29歳のリシャール・ガスケの8年ぶりのウィンブルドン・ベスト4入り、30歳のジル・シモンの初のベスト8入りなど、“新鮮どころ”もベテランが支配した。
当然上位進出者の平均年齢はぐっと上がり、昨年のベスト4以上が26.5歳だったのに対して今年は29.5歳、ベスト8以上に対象を広げても25.75歳から28.625歳へと、いずれもほぼ3歳の増加である。
テニスプレイヤーの24歳は若くない?
錦織は24歳で迎えたシーズン開幕、つまり昨年の1月に、自分のことを「もうおじいちゃん」だと冗談まじりにつぶやいたが、ならば準々決勝以降はかなり高齢のおじいちゃんばかり。ウィンブルドンだけではない。全豪と全仏のベスト4も全員27歳以上だった。
ただ、あの「おじいちゃん」発言は単に年齢のみを指摘したのではなく、自身の立ち位置と照らし合わせてちょっとした焦りから生まれた言葉だった。
昨年序盤のランキングは17位で、初めてトップ20を切ってからもう2年が経つのになかなか次の目標であるトップ10には届かないという状況だった。グランドスラムでもその2年前の2012年の全豪オープンで初めてベスト8入りして以降、再びそこまでたどり着くことさえできていなかった。「まだ“若手”の中に入れてもらっている」ことも違和感があった。若手扱いは、さらに下の世代がなかなか上がってこないというだけのことだと、本人はわかっていたのだ。本来、テニスプレーヤーの24歳はもう若くないと、錦織は自覚していたのだ。