錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
グランドスラムの舞台はアメリカへ。
錦織圭は真夏のシリーズをどう戦う!?
posted2015/07/31 10:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
左ふくらはぎのケガによる2回戦棄権というかたちでウィンブルドンを去った錦織圭。しかし、今では全米オープン・シリーズに備えたハードな練習を本格的に行えるほどにまで回復しているようだ。錦織サイドからの発信情報に偽りがないと、信じたい。
さて、テニスの1年は南半球から始まり、春のハードコートシーズン、ヨーロッパのクレーシーズン、芝、夏のハードコート、アジアサーキットなど、いくつかの小さなシーズンに分けられるが、これから始まる夏のハードコートシーズンほど“シリーズ化”されたものはほかにない。全米オープンまでの約2カ月間の北米の大会には、ATPポイントとは別のポイントレースが存在し、その上位3人には、その順位によって全米オープンの賞金にボーナスが加算される。
昨年錦織は全米オープンで準優勝したが、それまでのシリーズ期間を、例の足指にできた嚢胞とその除去手術のためにほとんど欠場したために、ボーナスはなかった。仮にシリーズ1位だったとしたら、準優勝賞金の145万ドルに50万ドルのボーナスがついていた。昨年のトップはミロシュ・ラオニッチだから、「シリーズ1位だったら」という仮定は錦織なら全く無謀ではないだろう。
ただ、錦織自身は他のトッププレーヤー同様、当然ながら賞金にがっつく素振りはなく、ウィンブルドンの大会期間中に獲得賞金のキャリア総額が1000万ドルを超えたことを指摘されたときも、「お金はあんまり……興味なくはないですけど、何百勝とかのほうがうれしいです」と苦笑いしていたくらいだ。
全英オープン後の1カ月はリフレッシュ期間。
錦織たちにとってボーナスが励みになることはないにしても、マスターズ2大会を含むシリーズを戦いきり、さらにクライマックスの全米オープンにピークをもっていくために、ここは一度気分をリフレッシュさせたい大事な時期だ。
クレーコートから芝、2つのグランドスラムを含む苛酷な3カ月の戦いを終えたあとの軽い骨休めといってもいい。
その間もツアー大会は毎週のように開催されているが、ビッグネームは今週のハンブルクでようやくラファエル・ナダルが出てきたくらいだ。ロジャー・フェデラーはこの時期によくチャリティー活動でアフリカを訪れるし、ジョコビッチは昨年のウィンブルドン後に盛大な結婚式をした。オフコートを含めた彼らのスケジューリングを見ても、頭と体のリフレッシュはこの1カ月の重要なテーマなのだろう。