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代表復帰の大迫が語っていた「夢」。
万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/11/09 08:01

代表復帰の大迫が語っていた「夢」。万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

代表に選出される数日前、インタビューに答える大迫。代表、そしてW杯への想いを隠すことは全くなかった。

ポスト、飛び出し、仕掛け。多彩な選択肢が相手を惑わす。

 相手を背負うポストプレーよし、裏に抜け出してよし、仕掛けてよし。利き足は右だが、今年は左足でのゴール数のほうが多い(右足7点、左足9点、頭1点)。プレーもシュートも選択肢が多い分、相手だって読みづらい。それを大迫自身、イマジネーションを大事にしながらも迷わずに「これだ」とある程度狙いを絞り、狙いが外れてもそれを執拗に繰り返すことによってゴールに結びつけている。それが夏場以降、さらに自信を深めて磨きが掛かっているという印象を受ける。

 大迫株をさらにアップさせたのが、8月24日の横浜F・マリノス戦(ホーム)だ。

 決定機を外した場面もあったが、後半に2得点を挙げて逆転勝ちした。1点目は、ドリブルで中澤佑二の逆を取って抜き去り、左足でゴールを決めた。2点目はドリブルを仕掛けてマッチアップの中澤が下がって対応しようとした瞬間、相手を抜ききらないままGKのタイミングを外しての右足シュートでゴールを奪った。日本を代表するセンターバックを翻弄しての2得点だけに、そのインパクトは大きかった。

 しかし大迫は、得点シーンとは違う部分に焦点を当てる。

「あのプレーというよりも、前半からずっと繰り返し裏を突いていたことが後半のゴールにつながったと思う。裏を走る回数が多かったから、俺自身も相当きつかったけど、相手を疲れさせることができたんじゃないかな、と」

 裏を狙って走り続けておいて、相手に疲労が出てきたと感じるや仕掛けを試みる。決定機を外してもひるむことなく確率を高め、狙いを定めてゴールを仕留める。「ストライカー大迫勇也」の怖さが伝わってくるようなシーンでもあった。

守備で戻ることが、自分のゴールにもつながる。

 ゴールを量産できている理由は他にもある。

「それもこれも、エースとしての自覚がでてきたということ」

 そう語るのは鹿島の常務取締役兼強化部長の鈴木満である。常勝軍団を築き上げてきた名物強化部長の目には、精神面の変貌ぶりが映っていた。

「いくらベテランでも、軽いプレーをしていたら今のアイツは平気で怒鳴りますよ。周りに気を配りながら、叱咤激励ができる。今年、興梠(慎三)がチームを離れて、やっぱり自分がやっていかないと、と強く感じたんだと思う。

 それによくキャプテンの(小笠原)満男が『チームのため』という言葉を使うけど、大迫はその本当の意味をようやく理解したんじゃないかな。チームが勝つための守備をしなきゃいけないし、走らなきゃいけない。でもそれはすべてチームのリズムを良くするために必要なことであって、チームのリズムがグッと良くなれば結局は自分のゴールにつながっていく。要はチームのためが、自分のためにもなる。

 前線でボールを失って自陣のゴール付近まで守備で戻ってくることも、それもすべて自分がチームのためにゴールを奪うことと関係している。そんなことが分かってきて、守備も運動量の部分でもよくやってると思いますよ。だからゴールという結果もついてきている。そして代表に呼ばれたことで、自信もついてきたように見える」

【次ページ】 「W杯でゴールが取れなきゃいけない」

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