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代表復帰の大迫が語っていた「夢」。
万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/11/09 08:01

代表復帰の大迫が語っていた「夢」。万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

代表に選出される数日前、インタビューに答える大迫。代表、そしてW杯への想いを隠すことは全くなかった。

代表で得たものを尋ねると、大迫は間髪入れずに答えた。

 代表の経験から得たものは?

 そう尋ねると、大迫は間髪入れるなく「向上心ですかね」と答えた。

 そして少し間を置いてから、言葉を続けた。

「代表でやってみて、いろいろと刺激を受けることができました。みんなと一緒にやってみて、もっとうまくなりたいという気持ちが強くなった。東アジア(カップ)のときでも、9月のグアテマラ、ガーナのときでも、単純にそう思いましたね。

 自分のプレーというものをぶれずにやって、この代表のなかで人と違うプレーをやってみたい、違いを出したいって。その気持ちを強く持つようになりました」

 代表が「変貌」のきっかけではない。あくまでアントラーズでの序章があって、ポンと背中を押したのが代表。そんな感じがしてならない。アントラーズで「ホップ」する十分な下地があったからこそ、今季、代表の経験を経てすんなりと次の「ステップ」に移ることができたのではあるまいか。

 ゴールを量産できている理由をストレートに聞くと、彼は特に表情を変えることもなくこう言った。

「いや、去年も1試合のうちに3、4回は決定的なチャンスはありました。そこが決められるか決められないかであって、今年はそれが入っているということ。去年だって決めていれば、これぐらいは取れたと思ってる」

 じゃあ、昨年までとは何が違うと?

「(今年は)決定機での集中力を、上げられている感じがあるんです。でももっと上げていかなきゃいけないけど」

予測して、賭けに出て、3回に1回当たればいい。

 集中力――。

 これは単にシュートを打つ場面に限った話ではない。いかにいいボールを味方から引き出し、相手との駆け引きに勝ち、シュートまで持っていけるかという一連のプロセス。そこでの集中力を高めるための不可欠な要素に、彼は「予測すること」を挙げた。

「(味方から)こういうボールが出て来そうだなとか、センタリングはここだなとか、選択肢が大体、2択から3択ぐらいはある。だから(当たる確率は)2分の1から3分の1だし、そこは賭けですよね。でも自分の場合、その3回のうち1回当たればいいかなっていう考えがある。それを何度も繰り返していけばいいと思ってるし、それが点を取れている要因じゃないですかね」

 確率を少しでも上げるために、味方に自分の狙いを知らせるべく「相手より早く動きだす」ことも心掛けている。常にゴールに向かって、動き出すタイミングを狙っている。

【次ページ】 ポスト、飛び出し、仕掛け。多彩な選択肢が相手を惑わす。

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