日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER

代表復帰の大迫が語っていた「夢」。
万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/11/09 08:01

代表復帰の大迫が語っていた「夢」。万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

代表に選出される数日前、インタビューに答える大迫。代表、そしてW杯への想いを隠すことは全くなかった。

「W杯でゴールが取れなきゃいけない」

 確かに今年の大迫は、前線から激しくボールを追う献身的な守備も光っている。守備の連係で味方のプレッシングが出遅れると、声を荒げる場面もあるほどだ。もちろん以前から守備の強みは持っていたが、迫力がまるで違うのだ。「エースとしての自覚」が、彼の勝負強さを生み出している一要素となっているのは言うまでもない。

 そんな大迫の現実的な目標になっているのが、来年6月のブラジルW杯である。最後、W杯について話を振ると彼は一段と眼差しを鋭くして言った。

「W杯は小さいころからの夢。実現するために頑張りたいと思う。でも出ることが目標じゃなくて、やっぱりW杯でゴールが取れなきゃいけない。取れるだけのレベルに達したいし、力をつけたい。そのためにも目の前にある試合を、自分のレベルアップできる場所と捉えて、頑張ってやっていかなきゃいけない。代表のことは常に目標に置いてなきゃいけない」

 自信があるからこそ、キッパリと目標だと言い切れる。

 クラブでの活躍の延長線上に代表があり、そしてその先にW杯がある。彼はアントラーズで勝利とゴールを追うとともに、代表にいつ呼び戻されてもいいように爪を研いでおくことを心に刻んでいるようだった。

2カ月ぶりの代表復帰。「ジャンプ」はすぐそこだ。

 そして――。

 このインタビューを終えた数日後、大迫は強豪のオランダ、ベルギーと対戦する欧州遠征の日本代表メンバーに選出された。2カ月ぶりの代表復帰。一度外れてしまうとなかなか呼ばれないケースもあるなかで、大迫は食らいついている。鹿島での充実ぶりが目を引いているからに違いなく、アルベルト・ザッケローニもずっとマークを続けているというわけだ。

 今遠征ではハーフナー・マイクが外れ、柿谷曜一朗に続くワントップ候補となる。きっとチャンスは訪れるはず。

 自分のプレーをブレないでやることが一番――。

 すべては勝利のためのゴールを。強豪を相手にどれだけ守備に回ろうが、どれだけ走ろうが、彼の視線は常にゴールにある。

 オランダとベルギーは強豪中の強豪。ここでもしインパクトを残す活躍ができれば、W杯への道筋も見えてくる。

 ホップ、ステップの段階は終わった。

 後は欧州のアウェー舞台で最高の「ジャンプ」を見せるだけである。

BACK 1 2 3 4
大迫勇也
鹿島アントラーズ
ブラジルW杯
ワールドカップ

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ