大谷翔平のある写真「2度と撮影できないです」今では信じられない“メジャー1年目”の姿とは？ カメラマンが語る秘話「大谷選手らしさって…」

　東京ドームで行われたドジャースとカブスによるMLB開幕シリーズ。

　その2試合を、レンズ越しに見つめたカメラマンがいる。文藝春秋写真部のカメラマンとして、『Sports Graphic Number』で大谷翔平のポートレート撮影、また球場でのプレーを撮影してきた鈴木七絵に、今回の東京シリーズ、そして大谷撮影時の記憶を語ってもらった。

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「切り替えはすごく上手、自然にできるんだと思いますね。二塁でこれだけ笑顔を見せてファンを楽しませても、次にプレーが始まれば、三塁に進むことのみに集中できる。他のことを追い出すことができる賢さを持っているんだろうなと」

　鈴木がそう語ったのは、開幕戦で大谷が二塁打を放ったあとの場面だ。

開幕戦で二塁打を放った大谷は笑顔でこのポーズ。球場を沸かせた

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「大谷選手らしさって、ここにあるのかな」

　ある時はプレーで魅了し、ある時はチームメイトとの明るい話題でファンの心をつかむ――。どちらも、大谷翔平という野球選手の魅力なのだろう。そのうえで、鈴木は大谷の「らしさ」を表現する1枚として、ある写真を挙げた。

　2023年のエンゼルス時代に、試合前のグローブライフ・フィールド（レンジャーズの本拠地）で撮影されたものだ。

ダグアウトから集中した表情でフィールドへ向かう大谷。この写真は『Number』1076号の表紙にも採用された（2023年撮影）

「ダグアウトからフィールドに出てくるところを撮影しました。投手として『今からいくぞ』という瞬間で、エンジンがかかっている感じがしますよね。だけど、横のベンチを見てわかる通り、じつは試合までまだ1時間以上あるタイミングの写真なんです。

　この表情が本当に気合の表情なのか、それは本人に聞かなければわからないけれど、『大谷選手らしさ』ってここにあるのかなって感じていて。ベンチでニコニコしているのも“らしい”んですけど、その奥にある“もう一つのらしさ”を撮れたらいいなと」

【次ページ】　「凄すぎるのに朗らか。それって両立するんだ（笑）」