大谷翔平のある写真「2度と撮影できないです」今では信じられない“メジャー1年目”の姿とは？ カメラマンが語る秘話「大谷選手らしさって…」 

　こちらも同じ構図ではあるが、エンゼルス1年目の2018年に撮影されたものだ。

「これは大谷選手がどれほどの選手なのか、まだアメリカの誰もが知らなかった時代の写真です。

　面白いのは、客席のファンが一人もスマホを向けていないこと。みんな自分の目で、大谷選手のホームランを味わっているという瞬間で、私はそれがいい場面だったなと思っていて。今後はもう二度と、撮影できない写真です。大谷選手の打席で、スマホを出さない観客なんて、本当にいなくなっちゃったから。この時はみんな立ち上がってセレブレーションをしていて、『ようこそアメリカへ！』という温かい雰囲気がありました」

「そこに優劣ってないんじゃないかな」

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　話を聞き終えて、フォルダの中で1枚の写真が目に留まった。球場でパネルを持って応援するファンを写したものだ。

「雑観もある意味で記録だと思っていて。『この時代に、ファンはこんな服で応援してたんだな』とか『スミス選手を熱烈に応援するファンもいたんだ』とか。プレー写真と同等の価値がある、とまで言えるかはわからないけれど、そこに優劣ってないんじゃないかと思います。ふと撮影した写真が誌面で使用されることもあって、それは仕事の一つの楽しさではありますね」

　野球というスポーツの地平を拓く、大谷翔平。静かな情熱とともに、カメラマンはその道のりを、残し続ける。《カメラマンが語る大谷翔平／前編も公開中です》

（撮影＝鈴木七絵）

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