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今永昇太と鈴木誠也だけでない…カブスの“日本産”戦力「大谷翔平とは興味深い対戦に」「本当にできるのか?」分析企業が電撃サポート契約の真相 

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間淳

間淳Jun Aida

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posted2025/02/20 17:01

今永昇太と鈴木誠也だけでない…カブスの“日本産”戦力「大谷翔平とは興味深い対戦に」「本当にできるのか?」分析企業が電撃サポート契約の真相<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今永昇太と鈴木誠也が所属するシカゴ・カブス。今季から日本の分析企業がサポート契約を結んだ。その真相とは?

 ネクストベース・アスリートラボのモーションキャプチャシステムで使用しているカメラは1秒間に1000コマを撮影できる。ドライブラインで使用しているカメラと比べると3~4倍もコマ数が多い。コマ数が多くなれば、動きがより細かいところまで見えるようになる。

 例えば投球フォームの場合、ネクストベース・アスリートラボでは指先の動きまで分析が可能だという。神事氏が説明する。

「肩関節の最大外旋、つまり胸を張ってからボールをリリースするまでの動きは、250コマ~300コマのカメラだと7コマ程度しか捉えられません。1000コマになると3倍、4倍になるので肘や指の動きまで分かり、その動きが投球にどのように影響しているのか、どの動きが肘や肩に負担をかけているのかなど詳細まで見えてきます」

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 動作分析の精度が高くなるほど、選手のけがのリスクを下げられる。約1時間半に及ぶカブスとネクストベースのディスカッションの中で、カブスの質問が集中したのは「けがの予防」だった。神事氏は「データを使ったチーム強化に興味のある方ですし、障害予防はチーム強化と球団経営に直結するテーマです。選手を1人欠くだけで球団には大きな損失ですから」と話す。

「本当にできるのか?」疑いを吹き飛ばした

 ネクストベース・アスリートラボ見学後、ネクストベースとカブスはオンラインで毎月ミーティングを重ねた。カブスからの“最終テスト”は2024年3月に設けられた。米国のアリゾナ州で実施する春季キャンプで、カブス傘下に所属するマイナー投手の動作分析を依頼された。

 ネクストベースは普段と同じ方法で動作分析を進めた。カブス側の質問には即答し、その場で分析の結果を示した。キャンプ初日にコーチ5人に測定結果を説明すると、翌日にはコーチの数が倍に増え、最終的にコーチ20人が集まるディスカッションになった。ネクストベース・アスリートラボの見学やオンラインミーティングだけでは「本当にできるのか?」と疑いが残っていたカブスを納得させ、サポート契約に至った。

 そんなネクストベースが取り組んできたバイオメカニクスに関心を抱くのは、カブスだけではないのだという――。〈つづく〉

#3に続く
メジャー複数球団、騒然「日本にそんなことをやっている施設が!」カブスとサポート契約した分析企業が「世界のどこでも勝負できる」と語るワケ

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