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メジャー複数球団、騒然「日本にそんなことをやっている施設が!」カブスとサポート契約した分析企業が「世界のどこでも勝負できる」と語るワケ
posted2025/02/20 17:02

今永昇太らの活躍で注目が集まるシカゴ・カブス。サポート契約を結んだ日本企業にメジャー各球団も熱視線を送っている
text by

間淳Jun Aida
photograph by
Nanae Suzuki
カブスが興味を持った内容と重なるところで
けがの予防はメジャーリーグ全体の最優先事項となっている。
じつはその中心に、スポーツ科学を応用したパフォーマンスアップのサービスを提供する日本企業「ネクストベース」がいることも認知されてきている。2024年末、ネクストベースはメジャーリーグのウインターミーティングに招かれた。ネクストベースの上級主席研究員・神事努氏は、バイオメカニクスの視点に基づく最新の障害予防に関する研究成果を発表した。
「まさにカブスが興味を持った内容と重なるところで、測定で使用するカメラの250コマと1000コマの違いを説明しました。ただ、私のプレゼンは基礎的な研究で、どちらかと言うと米国の人たちは応用研究を好む傾向があります。緻密にデータを取ってから実用化していくよりも、大まかなデータで課題を解決する方法を考えます。出汁からこだわる日本の職人と、すぐに食べられるファーストフード店のような違いを感じました」
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ウインターミーティングでプレゼンしたのは世界から選抜された5人だった。基礎研究に関する内容は神事氏を含めて2人、残りの3人は応用研究に関する発表を行った。データ収集に対して、ネクストベースとメジャー球団の考え方にはスタート時点から違いがある。
ネクストベースでは投球を分析する際、肩や肘の関節にマーカーを付けてから実際に球を投げる。一方、メジャーの球団はマーカーを付けない方法が主流となっている。体に機器を付けないマーカーレスは普段と同じ状態で投球できるメリットがある一方、正確なデータを得るのが難しいという。中尾氏は、こう話す。
「私たちはマーカーレスも並行して研究していましたが、現時点では大まかなデータを使って機械学習させるマーカーレスには限界があると感じました。選手の骨格の違いが大きく表れますし、肩関節の内旋や外旋の動きを正確に追えません。そもそも指先の挙動は全くデータが取れません。最初のデータが正確さや緻密さを欠くと、パフォーマンスアップや障害予防の効果も不十分になってしまいます」
そんなことをやっている施設が日本にあるのか!
ウインターミーティングでは、ネクストベースが訴えるマーカーの必要性に関心を抱く球団が複数あった。詳細な説明をすると、こんな風に驚きを見せたという。