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今永昇太と鈴木誠也だけでない…カブスの“日本産”戦力「大谷翔平とは興味深い対戦に」「本当にできるのか?」分析企業が電撃サポート契約の真相 

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間淳

間淳Jun Aida

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posted2025/02/20 17:01

今永昇太と鈴木誠也だけでない…カブスの“日本産”戦力「大谷翔平とは興味深い対戦に」「本当にできるのか?」分析企業が電撃サポート契約の真相<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今永昇太と鈴木誠也が所属するシカゴ・カブス。今季から日本の分析企業がサポート契約を結んだ。その真相とは?

「球速を上げるのは簡単ではないと思いますが、速球の平均球速が1キロ上がると相手打者の感覚は大きく変わります。今永投手の特徴が、さらに生きてきます。球種としては昨季、少しだけ投げていたカットボールが有効です。特に右打者には内角を意識させることができるので、私がカブスのスタッフだったらカットボールを勧めます」

 データを元にした攻略は大谷も確実に進めていく。神事氏は試合中の姿や現地記者の話などから、大谷がデータを積極的に活用するタイプと見ている。

「今永投手の左打者への投球は基本的に速球とスイーパーの2つです。大谷選手はアウトになっているとは言えスイーパーを捉えています。どちらかの球種に張って対策することが予想されますが、大谷選手が適応できるのか。それとも、その読みや対策を今永投手が上回るのか。興味深い対戦になります」

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 体格も球速もメジャーの投手より劣る今永が、速球を武器に15勝を挙げたことは大きなインパクトを残した。MVPを獲得した大谷も無安打に抑えた。だが、日本でプレーしていた頃から“投げる哲学者”と呼ばれた左腕が現状に満足することはないだろう。3月18日、東京ドームでカブスの開幕投手を任される背番号18には、野球ファンだけではなく、データ分析の専門家からも熱い視線が注がれている。

何の前触れもなく、カブスから電話が

 それもそのはず。「ネクストベース」は2024年9月、メジャーリーグの名門カブスと投球動作分析(バイオメカニクス)のサポート契約を、日本企業として初めて結んだからだ。

 ただ、周囲の驚きとは対照的に――来るべき時が訪れたと、話題の中心にいる人物たちは冷静だった。

 始まりは唐突だった。2023年9月、何の前触れもなくカブスから電話が入った。

「施設を見せてほしい」

 日本のプロ野球選手の視察で日本に来ていたカブスのジェド・ホイヤーGMは「日本でドライブラインのような施設はないのか」と関係者にたずねた。日本の球界関係者にヒアリングして見つけたのが、千葉県市川市の「ネクストベース・アスリートラボ」。ネクストベースが2022年8月に開設した施設だった。

 ネクストベース・アスリートラボは日本版ドライブラインと言われ、世界最先端の計測機器を備えている。そして、そのデータを分析し、選手のパフォーマンスアップやけがの予防につなげる専門家がそろっている。カブスからの電話は、数日後にネクストベース・アスリートラボを見学したいという依頼だった。プロ野球選手も利用し、国内外のチームから問い合わせを受けている施設とはいえ、メジャーリーグのトップが直接訪れるケースは珍しい。

【次ページ】 その点では日本の方がアメリカより進んでいる

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