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「大谷翔平でも苦労した」身長178cmの今永昇太がメジャー強打者を封じた要因は「美しいバックスピンと…」最先端分析でズバリ〈開幕投手決定〉
posted2025/02/20 17:00

2024年オールスターでの大谷翔平と今永昇太。この年の対戦成績では今永が完璧に抑えている
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間淳Jun Aida
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Daniel Shirey/Getty Images
分析研究員も「これほどの成績は正直…」
ここまでの活躍を予想した人は、一体どのくらいいただろうか。カブス・今永昇太投手はメジャー1年目の2024年、シーズンを通じて先発ローテーションを守り抜いて29試合で15勝3敗、防御率2.91。勝利数と防御率は、ともにリーグ3位に入った。3月と4月の月間最優秀新人に選ばれ、オールスターにも出場した。そして2025年、東京での開幕シリーズを迎えるドジャースとの開幕戦の先発に決まり、山本由伸と投げ合うことになる。
「これほどの成績は正直、予想できなかったです。160キロ台の速球を投げる投手が出てきている中で、今永投手は球速が決して速い投手ではありませんから」
こう話すのは、スポーツ科学を応用したパフォーマンスアップのサービスを提供する「ネクストベース」で上級主席研究員を務める神事努氏である。専門家も驚く今永のメジャー1年目の成績。ただ、結果を出せた理由はデータに表れている。
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端的に表現すると、今永がメジャーの強打者を封じた最大の理由は速球にあった。
一般的に左投手には相性が良いと言われる右打者に対し、高めに速球を投げ切った。以下の図を見ると、速球の到達位置を示すピンク色の点が高めに集中しているのが分かる(ボール到達位置、対右打者の図。外部サイトでご覧の方は関連記事からご覧になれます)。
今永の身長は178センチで、リリースの高さは166センチ。メジャーの中では低いリリースポイントから高めに速球を投じている。
メジャー平均より約4キロ遅くても速球が打てないワケ
この特徴を表すのが、近年メジャーで話題となっている「VAA」という数値である。
リリースポイントからホームベースを通過する際の投球角度を示している。0度は地面と水平であることを意味し、0度に近いほど打者からは投球が浮き上がっているように見えるため空振りを取りやすいメリットがある。